――まさに子供から大人まで楽しめる漫画ということですね。どう楽しむかは読者に委ねられているとも言えますよね。
赤塚 そうですね。赤塚漫画って人それぞれ自分の考えや背景、年齢とかで受け取り方が変わるんですよね。例えば『天才バカボン』だと、シンプルに「面白い」という声もあれば、ある方はすごく“政治的”に見ていたり、「仏教的だ」って言う方もいて。どう解釈するか、どこを笑うかは読者に任されているという自由度がいいですよね。
好きなように描いたら連載切られちゃった『レッツラゴン』
――『レッツラゴン』なんかは、考える余地がない作品ですよね(笑)。
レッツラゴン(1971年~1974年連載)
母、兄と死別して、父と二人暮らしの主人公・ゴンと、同居するクマのベラマッチャ、猫のイラ公らとのハチャメチャな日常を描いたシュールギャグ作品。
赤塚 そうなんです! 私が『レッツラゴン』を読んだのは大人になってからなんですけど、本当に面白くてびっくりして、父に「本当にヤバいね、この漫画」って言ったら、「だろ?読者とか無視して本当に好きなように描いたら連載切られちゃった」って笑っていました(笑)。「好きなように描いたの」って言って。普通、連載切られないようにしますけど、連載切られるくらい振り切ったってことですもんね。
内容がぶっ飛んでいるので、「訳がわからない、意味がわからない、理解できない」っていう方もいるんですけど、実際に意味がないし、訳がわからなくてもいいんですよって(笑)。頭を空っぽにして読んでほしい作品ですね。
思い入れが強かった、大人向けギャグ漫画『ギャグゲリラ』
――赤塚先生には「週刊文春」で1972年から約10年にわたって『ギャグゲリラ』という作品を連載していただいており、今年で連載開始50周年を迎えます。
ギャグゲリラ(1972年~1982年連載)
高い年齢層の読者にアピールするため、特定の主人公を設定せずに、実社会のリアルタイムの出来事をネタに取り上げた大人向けギャグ漫画。
赤塚 父は『ギャグゲリラ』にすごい思い入れがあったと聞いています。本当に力を入れていたので、「連載が終ります」と編集者の方に言われた時は泣いたそうです。少年誌ではないので、父が描きたいように描いているので、内容が攻めていますよね。時事ネタが多くて、風刺をギャグに落とし込んで描いてあるのがすごいなって思います。
ちなみに『ギャグゲリラ』の漫画の吹き出しのセリフは全部手書きなんですけど、それは北見けんいち先生が書いています。連載の後半(1979年〜)、北見先生は『釣りバカ日誌』を描いていて、忙しかったにもかかわらず、吹き出しのセリフの文字を書いてもらうために、父が近所の仕事場から呼び出して書かせていたそうです(笑)。
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