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日本人がウクライナ問題について当事者意識を持つべき理由とは

2022/03/11

 週刊文春が既報のとおり、岸田文雄政権の今国会政策の目玉である経済安保法案の責任者の藤井敏彦さんが派手にやらかして、12か月停職で就職活動中というお話が流れてきました。大変なことだなあと思います。

〈停職12カ月で辞職申し出〉経済安保法案の責任者・藤井敏彦室長「更迭」の理由は無届け兼業と朝日記者不倫
https://bunshun.jp/articles/-/52545

危機が高まってきた矢先に起きたウクライナ侵攻

 いわずもがな、この「経済安全保障」とは、トランプ政権成立以降、急速に米中対立が激化するにあたり、経済面で中国に深く依存する日本その他の関係国が、いざというときに資源とか工場などが止められて大騒ぎにならないようにしないといけない、という判断で進められてきた政策です。また、半導体を作ったり医療分野などで重要な戦略物資を中国の一存で輸出停止とかされると大変なことになるよ、ということで日本の経済や社会が安定して成り立つような輸出入管理をちゃんとやりましょうね、という話です。

 アメリカも中国も、周辺国を巻き込み多数派工作をしながら国際政治の舞台で静かな闘争を続けて徐々に危機が高まってきたので、日本も中国との貿易や人的交流も持ちながらどう立ち回るか考えましょうね、などと言っている矢先に起きたのが今回のロシアによるウクライナ侵攻なわけですよ。

 みんな、もうびっくりしたよね。

©iStock.com

経済安全保障どころじゃない

 アメリカや中国の顔色を見ながら、日本としてできることは何かとかのんびり考えていたら、いきなりロシアがウクライナに攻め込んじゃったもんだから、ビジネス面での安全保障なんて言ってる場合じゃなくなってしまった。日本の有識者も、「2014年のクリミア併合に関するミンスク合意をロシアは最終的に守るのではないか」と予想してたのを真正面から踏みにじってきたんですよ。驚きました。

 そして、いままで軍縮で頑張って、脱炭素で再生可能エネルギーを増やそう、脱原発でいこうなどと旗振ってたドイツが、実はロシアからの天然ガスに激しく依存していたことで、ある日突然、軍拡路線になるわ、「天然ガスも原子力発電も、二酸化炭素を出さないクリーンな電源だから投資していいよ」と環境主義者たちのハシゴは外すわ、まあ大変なことになりますね。

 ちまちまと経済安全保障についていろいろ考えていたら、ロシアが横から出てきて「明日またここに来てください、本当の資源危機を見せてあげますよ」と山岡士郎ばりのウクライナ侵攻を起こしてきたんです。経済安全保障どころじゃないよね。