敵はマジで目の前まで迫ってきている

 見よ! 制服こそ身にまとってないものの、このAK-47小銃、通称カラシニコフの堂に入った取り回しを。皆の真剣な表情を。次に銃を手にするときは侵略者に銃口を向け、引き金を引くときである。ロシアに加え、もっと悪質な独裁国家の核兵器に囲まれた我が国も見習うたほうがええで。

「アップ!(銃を上げ)」「不用意に引き金に指をかけるな!」「なんじゃあ! そのへっぴり腰は?」「敵は目の前だ! 敵はお前が撃つまで待ってはくれんぞ」

民間人や予備役(軍人)が戦闘訓練を自主的に受けていた 撮影・宮嶋茂樹

 教えるほうも学ぶほうも必死である。敵はマジで目の前まで迫ってきているのである。皮肉なことにここリビウ市の訓練のために使われている施設は元はロシア文化センターである。それがウクライナ軍予備役、ひいては領土防衛隊の訓練施設となっているばかりか、最前線に送られるべき物資、食料等の集積所兼中継地となっているのである。

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ウクライナでは女性も戦っている

 今このウクライナでは男も女も自分が祖国になにができるか、どう尽くしたら最善かを考えるときなのである。男やろうが女やろうが銃が扱えればそれを手にし、マネジメントが得意ならそんな武器や戦術、生活物資をどこへどうやって運べばいいか知恵をしぼり、手先が器用なら武器の整備を、料理が得意なら最前線の将兵を思いひたすら包丁をふるえばええのである。男も女も。

前線に送る食料(惣菜)を調理するウクライナ人たち 撮影・宮嶋茂樹
前線に届けられる大量の惣菜、手前は酢漬け野菜、奥はウクライナのソウルフードでもあるバレニキ(餃子) 撮影・宮嶋茂樹

 別れ際女性マネージャーが両手で握手を求めてきた。ここの女性リーダーたちは英語を解す。

「あなたが日本人で良かった。クリル・アイランズ(千島列島=北方領土)を同じロシアに奪われたあなたたちもいっしょに戦いましょう。私たちの行動は小さな一歩だけど、最後には必ず勝つわ」

 ウクライナでは女性も戦っているのである。

前線までの物資の輸送ルートとその配分を検討するボランティア女性 撮影・宮嶋茂樹

 ここリビウは難民の通過するだけの町ではない。前線への補給基地にもなっている。だからロシア軍がまたいつ襲いかかってくるやもしれんのである。

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