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2022/03/25

source : 文春ムック

genre : エンタメ, 芸能, 社会

自動継続の眼目を問え

 万が一の可能性ではあろうとも、日本に関する核戦争の危機を、自ら持たざる、アメリカのみが持っている強大な核戦力によって抑止し、場合によっては報復せしめることへの期待が、安保という選択の、何よりの代償に他なるまい。

 そして、その期待をかなえる機能は、実は過去の10年にも殆どなかったし、現在から将来にかけて、より一層稀薄に、決定的に皆無になりつつある。

 その第一の理由は、在来のNORAD・SACの機能上の関連性の実態であり、第二は昨今の核兵器の技術の著しい発展である。

 更に詳しく説明すれば、アメリカの核戦略の攻撃力であるSAC(Strategic air command)は、他国からの核攻撃への警戒体制であるNORAD(North American air defense)が、敵国の核攻撃を発見し、これをホワイトハウスに報らせ、然る後の攻撃命令が無い限り、絶対に発進しない。

©文藝春秋

 他国がどうなっているかは知らないが、アメリカの核戦略機能は、あくまで相手の第一撃を待って発進するという基本的な建前から、それを徹底させるために、警備と攻撃の手段は完全に切り離されている。その建前からいくと、敵の攻撃は出来るだけ早期に発見されなければならぬが、同時に誤認は許されず、それが顕らかに敵意による有害な攻撃であることを確かめるために、念入りの手段が講じられている。

 今日のICBM(大陸間弾道ミサイル)が、僅か30分で大陸から他大陸に到達するにしても、その限られた時間の内で、出来るだけ早く、しかし同時に許される限りの時間をかけて攻撃を確認し、次には、出来るだけ早く、確かにそれを迎撃しなくてはならない。

 それが、核戦略の実動第1段階であり、アメリカの被爆のケースと報復はその次に来る。

 必然、警戒が誤認をし、報復が先走りして、アメリカの手によって核戦争が勃発した、という事態にならぬために、警戒は出来るだけ早期に、しかし、許容の時間の限りを尽す、という一見矛盾した形になる。その建前が全うされ得る時間的距離にあるのは、当然のことだが、アメリカ本国であり、それと密着したカナダの一部だけ、ということになるのだ。

2回目へ続く

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