声明文のなかで、学校に対する恨みを感じさせる記述があったことから、友が丘中学校出身の素行不良者のうち、特に容疑性があった20代から30代の男性4人についてアリバイなどを調査したが、いずれも犯行と結びつく要素は薄かった。
友が丘中学校が創立された1979(昭和54)年ごろ、校区変更問題があり、そこで当事者がつかみ合いをする紛争があったとの情報もあったが、これまた事件との関連性は認められなかった。
捜査本部には、1日1000~1500件の情報提供が…
姫路市内の心療内科医院からは「カニバリズムに関するカウンセリングを受けた人物がいる」との情報が寄せられた。患者は姫路市内の一流企業に勤務する24歳のコンピュータ技師だったが、事件との関係は薄いと判断された。
ある他府県の県警からは「“聖斗”という名のスナックが市内にある」という情報も寄せられたが、調べたところ経営者の子どもの名前であることが判明した。
当時、徐々に利用者を増やしていたのがインターネットである。これについて、岡山県に住む50歳の女性から「酒、鬼、薔薇」といった文字を含むホームページを見た記憶があるとの証言が寄せられた。情報管理課員が捜査したところ、文字は掲示板の書き込みで、投稿者は東京のプロバイダ会社の利用申込書から大阪市に住む27歳男性と判明した。しかし名義と住所、電話番号を確認したところ、すべてが虚偽記載だったことが分かり、料金は会社の窓口で現金払いとなっていたため、それ以上の追跡を断念している。
捜査本部には、1日1000~1500件の情報提供があり、その8割以上がフリーダイヤルを含む電話だった。遠く離れた他府県や、米国在住の主婦という女性からも電話がかかってきたが、ネットが普及していなかった当時、これだけの情報を整理し、情報の価値を判断するのはたいへん労力のいる作業だった。
事件発生2週間前の“トラブル”
あらゆる可能性を潰していく作業と同時に、少年Aの捜査は極秘に進められた。