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3.『湖畔荘 上下』

『湖畔荘 上下』(ケイト・モートン 著/青木純子 訳)

70年前の幼児失踪事件。
迷宮入り事件が謹慎中の女性刑事を引き寄せた――

 1933年、イギリスのコーンウォール地方のエダヴェイン家の屋敷「湖畔荘」で、ミッドサマー・パーティー中に事件が起きる。1歳になる当家の男児セオドアが育児室から忽然と姿を消したのだ。警察の必死の捜索にもかかわらず子供の行方はわからず、事件は迷宮入りとなる。

 2003年、ロンドン警視庁の女性刑事セイディは、母親が子供を放置した事件の扱いをめぐって上層部と激突し、コーンウォールで謹慎の日々を過ごしていた。ランニング中に打ち捨てられた屋敷(湖畔荘)を見つけ、未解決の赤ん坊行方不明事件を知る。一体何があったのか。セイディは興味を抱き、70年前の事件をひとり探り始める。

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『忘れられた花園』『秘密』など、読者を物語の迷宮に誘う稀代の語り部の最新作。

▼ここが魅力!

三津田信三「とっつき難い構成と多視点描写なのに、ぐいぐい読ませる。プロットの面白さは当代随一である」

深緑野分「抱えるものが異なる3人の女性と3つの時間軸が最後に太い1本の糸となり、高揚と美しさに満ちた光景を見せてくれる」

臼井二郎「1930年代に生きる英国一家の多幸感溢れる日常描写が素晴らしい。そこから一転、スリリングな展開は物語の楽しみに満ちている」

黄木宣夫(Vidaway)「複雑な長大作だが、最後はきっちり収めてくれる。読み応え抜群である」

川出正樹「厳しくも優しく、残酷なれどユーモアと明るさを失わない豊穣な物語であると同時に、複雑精緻な謎解きミステリ。溜息と共に巻を擱(お)く。これぞ読書の愉悦」

4.『東の果て、夜へ』

『東の果て、夜へ』(ビル・ビバリー 著/熊谷千寿 訳)

 15歳の黒人少年イーストは、組織のボスの命令で、仲間3人と共にロサンジェルスから2千マイル離れたウィスコンシンに向かうことになる。裁判の証人を殺すためだ。

 だが、そこまで車で行かねばならず、仲間との相性も悪かった。刹那的な欲望に身をまかす元学生のマイケル(20歳)、コンピュータオタクでデブのウォルター(17歳)、そして不仲である殺し屋の弟タイ(13歳)。それぞれ互いに譲らぬものをもち、ついに激突してしまう。

 ロード・ノヴェルにして犯罪小説。デビュー作なのに英国推理作家協会賞最優秀長篇賞と同最優秀新人賞を同時受賞。全英図書賞やLAタイムズ文学賞にも輝いた傑作。

▼ここが魅力!

矢部潤子(honto書店)「暗く塞がった境遇のなか、懸命に生きる少年の孤独と潔さにうるっとくる」

間室道子(代官山 蔦屋書店)「胸のつぶれる物語なのにとてつもなく面白い仕上がり」

坂井絵里(今野書店)「邦題もしみるほど美しい」

ワセダミステリクラブ「犯罪小説とロードノベルを見事に融合させ、不思議な静けさを醸しだしている」

青崎有吾「読み終えてから慟哭したくなるような1冊」

式田ティエン「圧倒的なことは起こらないんですが、圧倒的な作品です」