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ウクライナ軍やキーウ市民の奮闘を間近で…

 しかしここリビウはそんな砂漠の町と状況が全くちがう。

 これから向かうキーウ(キエフ)はいまだ雪がちらつき、世界有数の軍事大国が自分の意のままにならぬ小国に大軍を送り込み、大地を、町を蹂躙しとるのである。

キエフの教会。ミサが終わってから現役のウクライナ女性兵士が祈りに訪れた 撮影・宮嶋茂樹

 コソボ紛争停戦後のNATO軍やイラク戦争での米軍と違い、今度押し寄せてくるのは侵略軍のほうなのである。それが首都キーウまで20kmまで迫り、着々と包囲網をせばめとるのである。なんとかそれまでにキーウに入り、ウクライナ軍やキーウ市民の奮闘を間近で見たい、撮りたいやないか?

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 しかしそんなもんはしょせんカメラマンのくだらん自己満足でしかない。当地の市民の戦争に対する不安や、ロシアへの怒りは察するにあまりある。一分、一秒でも早く安全な土地に、殺される心配のない国に逃れたい。それが普通やないか。

やっと手繰り寄せた一縷の望み

 そして今家族を安全な土地に逃がした後、男らは心置きなく侵略者と立ち向かえるのであろう。平和ボケした東洋の島国ではウクライナと同じく領土を奪い取られた敵がありながら、国会議員や弁護士までもが「早く降伏しろ」やの「どうせロシア軍には敗ける」やのとんでもないヘタレ論議が幅利かせているのが、ここウクライナまで漏れ伝わり、わしも肩身が狭あなるばっかや。

 そんな平和ボケした日本人の目をガビーンと覚まさせ、国際世論の興味をキーウに向かわせるためにも行かねばならんやないか。

 そしてやっと手繰り寄せた一縷の望みはキーウまで医療物資を運ぶボランティア・コンボイ(車両群)への同行取材であった。