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 このように、「いざ」という事態になったら、自衛官としての任務を全うするという心構えで日々の生活を送っているのです。この強い気持ちはどこからくるのかというと、「服務の宣誓」と、組織の中で醸成された「プロ意識」なのではないでしょうか。家族、特に子どもたちがそれを理解できているかどうかは別にしても、自分の中で「自衛官として」の役割に一本の軸を持って生活をしていることがわかります。

「子どもが小さくて行けない」女性自衛官が抱える葛藤

 しかし、現実的には、即応態勢という組織からの要求にいつでも対応できるわけではありません。このことは、女性自衛官にとって大きな葛藤になります。突発的な事案に対応できないときは、任務の遂行に支障のない範囲で割り切ることも必要になります。できる範囲で対応する、という意見もあります。それでも「自衛官として」悔いが残る場面は記憶に鮮明に残っているのです。

「24時間、何かあったら対応しないといけないじゃないですか。だけど、夫が単身赴任中で子どもが小さかった頃、平日に休暇をもらえたときに、所属していた部隊の隊長が呼集をかけたのです。私は子どもたちを職場に連れて行くべきか、行けませんと言って良いのかわからなくて。

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 でも、子どもたちは小さいので連れて行けない。子連れ出勤をしたところで何も役に立たない、職場に迷惑をかけるだけなので、『行けません』と隊長に電話するのは非常に辛かったです。なんだか、自衛官として失格って感じがしました。非常時に参集できないのですから。どのような個人の事情があるとしても」

 しかし、人は誰しも、常に気を張りつめて緊張感を持ち続けることはできません。気持ちの切り替えも重要です。これはおそらく男性自衛官にも共通することでしょう。

「何かあったらというときについての覚悟はあります。そこは服務の宣誓をしていますし、税金でお給料をもらっていますので。『事に臨んでは』というのはまさにそのとおりですが、平時のときはどちらかというとデスクワークが中心にもなりますし、気持ちを切り替えています。ずっと気を張りつめていたらもたないですよね」

「国の安全のため」という意識を持ちつつも、普段は目前の任務と淡々と向き合いバランスをとることが、不測の事態でパフォーマンスを発揮できる秘訣かもしれません。