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「私が知らない間に不登校になっていました」任務と母親としての役割との間で揺れる葛藤…女性自衛官の子育てについての“本音”

『女性自衛官 キャリア、自分らしさと任務遂行』より#2

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「子どもが生まれてから不安に思うことは、訓練のときや、ここぞというときに熱を出されたらどうしようということです。行かなくてはならないときに対処できるのは私しかいなので、そういうときはどうしようかと思いながらも祈るしかないのです。幸い、今まで大ごとになったことはありません」

 自衛官としての「プロ意識」が高い彼女たちだからこそ、何かあればプライベートを犠牲にしても国のために自分が行かなくてはいけないということを常に意識しています。「国のために」という強い使命感、責任感があるため、その責任が果たせないときの葛藤はより強く深いものになります。そこに自衛官としてのアイデンティティを垣間見ることができます。

学校から『お子さんしばらく学校に来ていません』

 この葛藤がピークになるのは、子どもに心配な状況が現われたときなのではないでしょうか。子育てがいつでも順調に進むわけではありません。子どもの不登校を突然知ったというケースもありました。

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「自衛官の夫も私も仕事が忙しい時期があって、夫は平日ほとんど家に帰ってきていなかったのです。私は平日は毎日、家に帰るけど、夜中になってしまっていて、毎朝15分の時間を使って子どもたちと話すみたいな感じでした。

 こんな状況で、やっぱり子どもはお母さんに何も話せないですよね。週末に家族で一緒に過ごしたとしても、下の子がまだ小さかったので、上の子が遠慮していたのでしょうね。私が知らない間に不登校になっていました。

『お子さんしばらく学校に来ていませんけど』と学校から連絡をもらって、『えっ』て。仕事も家庭も両方やりたいって欲張りなのかもしれないですけど、仕事が忙しくて、家族に対して抜けが出ちゃったんですよね。失敗はしますよ」

 子どものことで何かあれば、子どものための時間をとって解決を図ることになります。今だからこそ「失敗」と明るく話してくれましたが、当時は相当な葛藤があったはずです。

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