「僕、笑えるわ」自殺を考えていたファンが思いとどまった
ーー年齢ではなく「主婦」という属性でファンをつかんだ。
上沼 コンサートで客席を観た時に、私の同年代ばかりで埋め尽くしてるのではなくて、活気のある方々に、ちょっとバトンタッチしていってるというのがわかるんですね。
やはりラジオって大きいですね。ラジオで元気が出たと言ってくださる方が多い。ものすごい大きな話をすると、自殺をやめた方が2人いらっしゃるんです。
――ラジオを聴いてですか?
上沼 はい。首くくろうと思って用意してたら、ラジオから流れてきた私の言ったことで笑ったそうなんですよ。「僕、笑えるわ」って思ったそうです。それで「あなたは命の恩人です」というメッセージをいただきました。そういうことがあるから、ある意味、コンプライアンスはわかりますわ。影響を持つわけですよね、一言一言に。
――たしかに。
上沼 よく「口から出まかせ」みたいに言われますけれども、そんなことないんですよ。でも計算してるわけでも、台本読んでるわけでもない。
関テレからもらったクリスタルのトロフィーを勝手口で……
ーー25年続いた『怪傑えみちゃんねる』が終わって、様々な報道が出ていました。
上沼 関西テレビは嫌なことだらけでした。65になってあんな思いするとは思いませんでしたしね。もう2年も前ですが、昨日のことのように腹立たしいです。
以前、社長賞というものをもらったんです。『快傑えみちゃんねる』25周年の時やったかな。クリスタルのトロフィーで「社長賞 上沼恵美子様」って書いてあった。それをポーンと片手に持って、勝手口に出て、コンクリートの床にガチャーンって。バーンって、木っ端微塵。イェーイ!
――!!
上沼 怒った人がものを投げて壊すじゃないですか。あんなのドラマでしか観たことなかったんですけど、ちょっとだけスカッとします。まあ1分ぐらいですけどね。あと、片付けるの大変です。あんなに腹立ったのは、60まわって初めてですね。
もう今はなんともないですけどね、でも嫌いですよ。もう胸悪いんですよ。だからテレビも「8」だけ映らないようにしてるんです。
――え!?
上沼 嘘ですよ、嘘(笑)。テレビのスイッチの8だけ抜いてやろうかなとは思った。
――上沼さん家のテレビならできるのかなって思いました……。
上沼 嘘や(笑)。でもね、意識的に観ないようにしちゃう。もう嫌ですわ、こんな自分が嫌です。もっと大きな寛容な心を持ちたいなと思いますけどね。でもそんな年相応に柔らかくなんかなれないです。やっぱ腹立ってなんぼです。腹立つというのは若さだそうですね。瀬戸内寂聴さんがそう言ってますね。
以前、寂聴さんが来てくれたんです、スタジオへ。こちらから「寂庵へ行きましょか」って言ったら「なに言うてんねん、『えみちゃんねる』好きやねん」って、スタジオに来てくださったんです。