――寂聴さんから出向かれるってすごいですね。
上沼 私はご褒美いただいたと思いました。関テレは嫌いですけれども、関テレのおかげで寂聴さんとちょっとつながったといいますか、その恩はあります。「えみちゃんあなたね、頭がいいからね、私ファンでね」って。「ほんとにえみちゃんはいいわ。それでね、みえちゃん」言うて。
――みえちゃん(笑)。
上沼 ヒヤッとして終りました(笑)。
男女平等だと言ってること自体が、平等じゃない証
――「怒り」というのは上沼さんにとって重要なモチベーションだったのではないかと。
上沼 そうです。絶対そうですね。アンテナがそうなってる。だから、たとえばスーパーに行っても、なにか話題を拾って帰る。“ポテトサラダのおっちゃん”おりましたやんか。「ポテトサラダぐらい作ったれや」かなんか言うて、若い奧さんが腹立ったというの。
――子連れの女性がお惣菜のポテトサラダに手を伸ばそうとしたら、横にいた男性に「ポテトサラダくらい自分で作れ」と説教された話ですね。
上沼 それもラジオで取り上げましたけど、もうぼろくそ言ってやりました。ポテトサラダを作るのがいかにしんどいかがわからない人間がね、偉そうに言うてるわけですよ。
だから女って生まれたらもうそこで損してるんですよね。もうそういう時代じゃない、男女平等だと言ってること自体が、平等じゃない証で。そんなことをわざわざ謳わないといかんというのがね。女はやっぱり損、損だけれども、その分、学ぶこともあると思った方がいいと思うんです。
私、いつも言うのは、曇り空になってきたら「あっ洗濯物」って思うのは女。男はそんなこと思いません。
ーー女性の方がより「生活」に結びついているとは思います。
上沼 男は、会社勤めから帰ってきたら大威張りでしょ。もうバーンと横になってますやん。女はしますか? しないですよね。パートから帰ってきても、すぐ洗濯物取り入れて、ネギ切って。そんなことをしながら、ピンポーンって宅配便が来て「はーい」言うて出るのも女。
今の男性は優しい言うても、根底は一緒じゃないですか。男は男で生まれただけで偉いと思いすぎです。何も偉くないです。収入もたいしてないしね。
――(笑)。
上沼 私は彼の何十倍って稼いだわけですから、男の人の理論で言ったら、バカにしてもいいわけなんですが、違いますね。人生のパートナーというのは、そこを見てるわけじゃないんですよ。
やっぱりね、夫にちょっとした質問をぶつけると、いい答えが返りますね。さすがだなって思います。ただ、彼は熟語が多いから「そこは崩さなあかんよ」って時々アドバイスしてるんですけどね。「熟語は言いやすいんでしょうけど、伝わる音だけだと意味がわからないから」って。
――そうか……上沼さんはおしゃべりで表現するからそこが大事なんですね。
上沼 熟語は紐解かないとわからない。例えば「反省」って言うたとしましょう。その後に「くいっと振り返って、ああ悪かったなって思った」というフレーズを重ねます。これ、わかりにくいやろうなと思うから、もう1回言う癖がついてますね。
主人は熟語だらけなんですよ、話の中に。「ちょっと池上彰さんにはなれないね」って言うたら「なりたくないわ!」って怒りますが。