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帽子をかぶるだけで、好かれもするし、嫌われもする

――本書では、トランプの支持者集会の取材のほか、共和党の選挙ボランティアとして、1081軒の有権者宅を訪問して回ります。そもそもの話ですけれども、外国籍の人もいるものなんですか?

横田 トランプのボランティア・チームというのは、白人の男性たちがほとんどじゃないですか。本にも書きましたが、中国系アメリカ人の法輪功信者の女性もいましたけれども。アジア系の僕が住宅地を歩き回っていると、ふつうは不審者だと思われます。でもトランプグッズの赤い帽子をかぶるとOKなんです。選挙運動しているんだなと納得するから。

 おまけにトランプ支持者たちは、ウエルカムな感じで接してくれます。けれどもそれ以外の人たちからは、敵視される。「その帽子はいったい何のつもりだ」と怒鳴られたり、「正気の沙汰なの?」と言われたりしました。中指を立てられたことも、警察を呼ばれたこともあります。

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 だから、これをかぶっているだけで、好かれもするし、嫌われもする。帽子ひとつで両極端の反応を見ることができました。リトマス試験紙を頭に乗せて、街を歩いているみたいな感じだったですね。

 それにしてもトランプを大統領として売り込むのは難しかった。彼やFOX(トランプ寄りの放送局)の番組が言っていることを真似してみるんですが、相手が論理的に反論して来ると、どうしても言い負かされてしまう。一生懸命トランプの主張を伝えても「それは違うぞ」と穴を突かれてしまい、かばいきれません。

『「トランプ信者」潜入一年』(小学館)

――トランプの売り込みのためにわざわざFOXの番組を見たんですか?

横田 今回の取材でアメリカにいるときに契約していたケーブルテレビでは、CNN、MSNBCとFOXのチャンネルが隣り合っていて、家にいるときはずっとその3つを切り替えながら見ていました。僕はジャーナリストだから、FOXではどんなことを言っているんだろうと見ますけれども、一般的にはCNNを見る人はFOXをあまり見ないし、その反対も同様です。だからCNNとFOXの両方見るっていう人はあんまりいないと思いますね。