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石垣島のイメージとはかけ離れた釣り場で衝撃的な事態が起きた

 東の空が薄明るくなりかけたころ、手釣り仕掛けを上げるため川縁に立つと、仕掛けの糸が河川中央に向けてピンと張っていた。

 流れも緩い川で明らかに不自然な力の掛かりよう、もしかして……? すぐさま糸を手繰り寄せてみると、重いのだ。

 抵抗こそないが明らかに何か付いている。足元まで回収してみると……。

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 それは紛れもなくマングローブジャックだった。

釣れたのは想定外のマングローブジャック

 和名はゴマフエダイで、スズキ目フエダイ科に分類される魚の一種。マングローブに生息するゴマフエダイを釣り人が「マングローブジャック」と名づけたのが由来だそうだ。

 最大で1mを超え、2020年には沖縄県の最大記録となった97cm(12.06kg)が釣られている。成長過程で生息域が変わるとされ、20cm前後は純淡水域まで遡上し、中型から大型にかけて汽水域や外洋のサンゴ礁域まで移動する。

 釣れた個体は小型ではあるが、顔つきからすでに大型魚の貫禄が垣間見える。

40cm位だが立派な顔つき

 私がゴマフエダイを釣りたかった理由は、西南諸島でしかまともに釣れないからではなく、「フエダイ科」への憧れだった。

 クロダイなどのタイ科の魚と比べてやや細みだが、ただ細いのではない。

 シャープな顔立ちから一変、反り上がる勢いで背中側に厚みのある肉が張っている。このフォルムに魚としての力強さを感じる。そして目力があり、遊泳力の高さがうかがえる鰭も備え、すべてがスマートで格好いい。

三宅島で釣れたフエダイ

 もう二度と釣れないかもしれないので、今回釣れたゴマフエダイは持ち帰って食べることにした。

ゴマフエダイで作る沖縄料理は如何に

 3枚におろす段階で、身の厚さが尋常ではないことに気が付いた。

 肉付きがタイではなく、ハタのそれに近い。血抜きをしても身に薄っすらピンクがかっている様も同じだ。

 食材を活かす意味でも、シンプルなマース煮を作ることにした。