紀州釣り、テンカラ、アユの友釣り……。伝統釣法と言われても、今なお進化を続ける釣り方がある。かぶせ釣りもその一つで、最近その釣魚力を目の当たりにして衝撃を受けた。釣り場は島根県浜田市。シンプルなのに大型魚まで釣れる、伝統釣法「かぶせ釣り」を体験してきた。
磯の王様・イシダイが爆釣されただと?
かぶせ釣りとは、広島発祥の釣りで、牡蠣の殻を砕いて身に針を掛け、堤防の足元に落としクロダイやアイナメなどを狙う。かかり釣り用の竿にリール、ラインと針のみで行う非常にシンプルな釣りでもある。
この釣りを知ることになったのは昨年の11月。五島列島の福江島を訪れた際、広島を中心にYouTubeで動画を配信している「バラシスタ」の方々と釣りをする機会があった。
私は良型のクロダイを釣り、幸福感で満たされていたところ、彼らはかぶせ釣りで50、60cmを超えるイシダイを大型クーラー満タンにして帰ってきた。
このときの雷に打たれたような衝撃は今でも忘れられない。
イシダイと言えば、非常に難易度が高い釣りでも知られる。
渡船で沖磯に渡る費用、そして人間もメッタに口にできないサザエやウニなど高価な餌も必要になる。さらに大型のイシダイを釣るためには強靭な専用タックルを用意しなくてはいけないので、竿、リールセットで10万円が目安とも言われる。釣りを始めるまでのハードルは極めて高い。