そんな磯の王様・イシダイが爆釣されただと? このフィクションのような釣果に地元の方々も驚いていた。
地理的な魚影だけでなく、この釣り自体にイシダイを引き寄せる何かがあると思い、それからしばらくかぶせ釣りへの思いを馳せていた。
沖堤防に乗るとさらに「異次元さが増す」
翌月、島根県に行く機会をいただき、早速かぶせ釣りに挑戦しようと計画した。
羽田空港から飛行機で萩・石見空港へ。そこからレンタカーで浜田市へ向かった。たまたま向かう釣り場がバラシスタの吉本賢二さん、いや吉本先生が通っている釣り場ということで、同行してレクチャーしていただくことになった。
普段は手探りで魚を追うことが好きな私だが、今回ばかりは単刀直入に「イシダイを釣らせてください」とお願いした。
日本海に面する島根県は地波止が豊富で釣り場はたくさんあったが、沖堤防に乗るとさらに「異次元さが増す」という。あたりが暗いうちに港を出る渡船を利用した。
かぶせ釣りではクロダイ、イシダイ、コブダイと超が付くほど大型の魚がメインターゲットとなるにも関わらず、竿先はカワハギ竿のように細くて繊細な仕様になっている。これはアタリを取るためで、餌となる殻付きの貝が水中で魚に喰われている様子を竿先で感じることができるらしい。
小さな餌取りのアタリから潮の流れまで、すべて穂先が情報を得る触覚的な役割を果たしている。手持ちのシーバスロッドで代用しようと思っていたが、その事実を知ってそっと自前のロッドをしまって専用ロッドを拝借した。