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リア 全くないです。ただ、日本で活動していたときは、最初のアルバムは本当によく聴き返しました。ビデオも何度も見ましたね……。だけどそのうち、自分の顔をあまり見たくなくなってしまって。テレビをつけたら自分が映ってるかもしれない、と思って、テレビを見るのをやめた時期もありました。

 その頃は、自分の精神状態があんまり良くなかったんだと思います。もう、何をやってもうまくいかない、うまくできないんじゃないかって。……なんだか色々ネガティブな発言をしてしまって申し訳ないのですが、そのときは、そういう気持ちだったんです。あの頃は、自分の成熟が足りなかったんだと思っています。

 

日本に行けて本当に良かった

――そういった気持ちが落ち着いてきたのは、いつくらいからでしょうか?

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リア アメリカに戻って、大学に入ってからですね。その時に生活が一変したので、落ち着いていきました。

――今、日本で活動していた頃を振り返ると、そこにもうひとりの自分がいる、といった感覚なのでしょうか。

リア そのように思っていた時期もありました。でも……『スライディング・ドア』という映画を観たことはありますか? グウィネス・パルトローが出演している映画なんですが、ストーリーは、彼女の演じる主人公が、仕事帰りに電車に乗ろうと急いでいるんです。それで、電車に乗れるか乗れないか、ギリギリのタイミングでドアが閉まっていく。その電車のドアが「スライディング・ドア」です。

 そこから、ドアが閉まる前に何とか飛び乗れたバージョンと、間に合わなくて乗れなかったバージョンの、それぞれの人生が進行していくという映画なんです。

ネバダ州立大学で。当時4年生のリアさん

 私にとっては、日本に行くか行かないか、その瞬間がまさに人生の「スライディング・ドア」だったんだと感じています。もし日本に行かなければ、全く違った人生になってたんじゃないかなと思うこともあります。それに、私が今やっていることは、日本での活動とは全く違います。

 それでも、日本に行ったことで色々な経験ができたし、たくさんの機会をいただけた。今振り返っても夢を見ているようですが、日本に行けて本当に良かったし、感謝しかないと思っています。

通訳=武部紫

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