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連載日の丸女子バレー 東洋の魔女から眞鍋ジャパンまで

「そっか~」「あ、そっか」吉原知子の"バレー戦闘集団"に影響を与えた17歳・木村沙織の〈放言〉

「そっか~」「あ、そっか」吉原知子の"バレー戦闘集団"に影響を与えた17歳・木村沙織の〈放言〉

日の丸女子バレー #32

2022/04/02
note

韓国戦勝利で「視聴率21.8%」

 第3戦は対韓国。

 韓国戦は、選手たちが意識するしないにかかわらず、多くの国民が注目する。この時点から過去10年間、日本は29戦して4勝25敗と大きく負け越していた。

 日本のメンバーはセンターに吉原と杉山、セッター竹下、ライト高橋、リベロに佐野、そしてレフトは大型アタッカーの大山と栗原である。

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「さあ、行くよっ!」

 吉原がメンバーを引き締める。

「はいっ!」

 掛け声と共に、6人の心がギュッと一つになった。

 鬼のような形相の6人は、長年女子バレーに親しんできたファンの予想をも覆すような戦術に出た。大山、栗原の高さとパワーを炸裂させながら、機動力を生かした攻撃バレーを展開したのだ。つまり、この試合で日本伝統の守備のバレーから、攻撃に重きを置いたバレーに変貌したと言ってもいい。

アテネ五輪時の大山加奈(左)と吉原知子(右) ©文藝春秋

 韓国は拾ってつなぐバレーで必死に応戦するものの、フルセットの末、日本が勝った。

 韓国のミスは11本。対する日本は28本。韓国の3倍近いミスを犯しながら、それでも勝利を収めた事実は、日本の攻撃がいかに激しかったかを物語っていた。

 やはりこの全日本は何かが違う。そんな思いがますます強くなった。

 宿敵・韓国を下したことによって、バレーにさほど興味を示さなかった若い男性や中高年層も柳本ジャパンに注目し始めた。初戦のアルゼンチン戦で14・3%だったテレビの視聴率は韓国戦では21・8%に跳ね上がった。