昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

今でも土日休みの生活に憧れる…“令和の怪物”ロッテ・佐々木朗希の普通すぎる素顔

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/04/22

 千葉ロッテマリーンズの背番号「17」に日本中の注目が集まっている。令和の怪物 佐々木朗希投手。4月10日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)で28年ぶり史上16人目の完全試合を達成すると、続く4月17日のファイターズ戦(ZOZOマリンスタジアム)では8回を投げてパーフェクト。2試合合計で17イニングをパーフェクトの偉業を成し遂げた。

 周囲の熱が、どんどんヒートアップする中、本人は至って、冷静。「ブルペンでは調子が悪かったのでどうなるか心配でした」と静かに語る。

佐々木朗希 ©千葉ロッテマリーンズ

「起きようと思ったけど、身体が動かなかった」

 令和の怪物と言われると構えてしまうが、普段は至って普通の青年だ。プロ1年目。初めての石垣島キャンプ初日に目を輝かせながら宿舎近くから海を眺めていた。そして「いつか小笠原諸島に行ってみたいと思っている」と話をした。テレビ番組で小笠原諸島の特集をやっていたのを見て、興味を持ったようだ。石垣島の海を眺めながら、行ったことがない場所について目を輝かせながら想いを語った。

 もちろんプロ根性が垣間見える時もある。ジンクスに縛られる生活を良しとしない。だから、あえて崩していく。完全試合を達成した試合、そして次回登板。普通の感覚でいえば、あえて登板前夜も登板の朝も前回と同じ食事メニューで挑みそうなもの。しかし、全く違う選択をした。それもジンクスに縛られて生きたくはないからだ。ジンクスはあくまでジンクスで根拠はない。ジンクス打破とばかりに、まるで違う食事メニューを頼んだ。

 縛られると言えば、身体が動かなかったエピソードがある。昨年10月14日のバファローズ戦(京セラドーム)。先発を任されることになっていた佐々木朗希投手は朝10時に目を覚ました。ただ、身体は動かなかった。初めての経験だった。

「起きようと思ったけど、身体が動かなかった。自分で必死に身体を動かして、やっと思い通り動いた。初めての経験でしたね。あれが金縛りという現象ですかねえ」

 その試合は勝利して見事、シーズン3勝目。試合後に茶目っ気たっぷりに秘話を披露した。

「MAX164キロの剛速球を投げる」と周囲は一言で片づけてしまう側面があるが、日々、身体のためになにが良いかを考えながら過ごしている。プロ1年目。入寮した時に持ち込んだ本は「筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典」(荒川裕志、石井直方著、ナツメ社)だ。新型コロナウィルスの影響でプロ野球がチーム活動を中止した20年4月にも寮でじっくり身体に関する本を読み込んだ。

「入寮した際に持ちこんだ本を監修した石井直方さんが書かれた『トレーニングをする前に読む本』(講談社)です。前の本もそうですが筋肉の性質や動き、しくみはしっかりと知っていて損はないと思っています。前回の本は読破しました。今まで知らなかった筋肉の事を知ってさらに興味が湧いてきたので買いました。自分でもウェートや体幹をしている時にどこの筋肉を動かしていて、その筋肉が体のどのような役割を担っているかとかを知りながら行うのと知らないで漠然と行うのとでは全然違うと思います」と語っていた。

 超がつくほどの理論派で勉強家。自分が理解して、考えて納得してから行動に移すタイプ。だからこそ自分自身の身体のメカニズムはしっかりと知りたいという欲求がプロ1年目の彼を読書に駆り立てていたのだ。

z