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「母であること」に対する感情は規制されている

「良い」母親には、母である喜びと満足を感じることが期待される。同じように、怒りと失望と欲求不満を感じて表明する人は、きちんとした母という「本来の運命」にたどり着けない、問題を抱えた女性と見なされる傾向がある。

 たとえば非常に多くの母たちのブログやSNSの投稿に書かれているように、ある程度の困難と苦痛を伴うのが普通だとする陰影のある母親像に遭遇することが多い現代でさえ、一般的な子育ては、以前と変わらず、対人関係の葛藤を無視して、温かく優しいお世話に満ちた現場で行われているとの画一的な想像の中で捉えられている。

 悪循環の中で、母たちは、高まり続ける「母への期待」に直面する。それに応じて、多くの母は、自分への期待を上げながら、罪悪感と自己不信とあらゆるニュアンスを持つアンビバレンスの影の世界にどんどん深く入り込む。

 アンビバレンスはあらゆる人間関係に伴う感情と言えるが、社会が「母であること」について母に許容する唯一の答えは「私は母であることを愛しています」だけなのだ。

母親になって後悔してる

オルナ・ドーナト ,鹿田 昌美

新潮社

2022年3月24日 発売

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