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 刑事が凶悪犯を追い詰め、手錠をかける――前述の特番では、まさに刑事ドラマに登場するようなシーンが再現された。登場人物はドラマに出てくるイケメン俳優とは似ても似つかないが、現場の緊迫感は十分に伝わったはずだ。日本の警察が、命がけで市民を守っている事実を知ってもらえただけでも、番組に出た甲斐があったと思う。

 その数年後、今度はテレビ東京がやって来て「秋山さんのために番組を作りたいんです」と言われた。「『THE 指名手配』という生放送の番組をやります。そこに出て、小池事件について国民に情報提供を呼びかけてください。僕らも小池を捕まえたいんです」とのことだった。

 さすがに現職の刑事がテレビの生放送に出るのはどうやろう……と躊躇したが、最初のテレビ出演時とは別の捜査第一課長はこう言った。

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「秋山、構わないから出ろ。お前はインパクトがある。躊躇わず、生放送に行ってこい!」

カメラに向かって凄んだ「おい小池、出てこい!」

 背中を押されたワシは、「小池を捕まえるためならなんでもやったるわ」と腹を括り、生放送に出演。テレビカメラに向かってこう凄んだ。

「おい小池、出てこい!」――

 当時は小池の事件発生から9年が経っていたが、ワシは寝ても覚めても小池を逮捕することを考えていた。そのまま小池が逃げ切ることは無理だと信じていた。

 生放送中に「公開捜査」をした反響は大きく、情報提供を受けるスタジオの電話が鳴りやまなかった。「小池に似た男をスーパーで見かけた」「パチンコ店の前で見た」という情報が約300件も寄せられた。小池事件は確実に、より広く世に知られるようになった。

 テレビ東京の生放送後、「次は日常的な事件も取材したいので、徳島での捜査に密着させてください」とのオファーが来た。その時、ハンディカメラを片手にひとり徳島を訪れ、ウィークリーマンションで寝泊まりしながらワシらを密着取材したのが、当時テレビ東京のスタッフだった「イッちゃん」こと市島竜也氏だった。

 長い密着取材で行動をともにしてすっかりワシと打ち解けたイッちゃんは、いまではワシのYouTubeチャンネルの制作を手伝ってくれている。ちなみにワシと最初に会った時、イッちゃんは「秋山さんは一般人と目つきが全然違っていて、ものすごく怖い人」との第一印象だったそうや。