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2022/05/04

genre : ニュース, 社会

日本、フランス、チリ…国をまたいだ裁判へ

 2017年1月30日、フランスがチリにセペダ被告の引き渡しを申請した。2020年の3月には愛海さんの母も直接チリの判事に手紙を出して、セペダ被告のフランスへの引き渡しを懇願した。だが、チリ・フランス間には犯罪者引き渡し条約はない。

 じつは、フランス警察が容疑をかけたと知ったセペダ被告はチリ警察に自主的に出頭。事件への関与を否定していた。遺体はまだ発見されていない。犯罪者引き渡し条約もない。セペダ被告の家は裕福で最高の弁護士も雇っている。だから自白さえしなければ無罪放免になる、と踏んでいたのであろう。

 しかし、チリの最高裁判所は2020年5月18日犯人引き渡しを承諾。セペダ被告は2020年7月24日にフランスに到着し、すぐにブザンソン刑務所に拘置され、予審が開始された。そして、2021年2月2日、起訴が決定された。

 ジャカール記者は、この異例の引き渡しが実現した背景について、ルモンド紙の記者から次のような解釈を聞いている。

「チリでは、ピノチェトの独裁時代にたくさんの反政府活動家が行方不明になりました。容疑者は遺体がなければ無罪放免にされています。それゆえ、チリで裁判すれば、セペダ被告は無罪になるのです。

 しかし、今回は日本やフランスの圧力があった。ただ、チリ国内の裁判で有罪にすると、遺体がなくても有罪という判例ができてしまう。そうすると、今まで無罪放免されていたピノチェトの仲間たちに有罪判決を出さなければならなくなるのです」

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