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連載日の丸女子バレー 東洋の魔女から眞鍋ジャパンまで

「上から目線は女性にはタブー」眞鍋政義が〈高さ、パワーの面でどうしようもない〉男子ではなく女子バレー監督を選んだ理由

日の丸女子バレー #37

2022/04/23
note

戦術をまるで理解していない

 09年5月、全日本候補の二十数人が招集され、眞鍋ジャパンがスタートした。

 眞鍋は、全員に質問した。

「君らが考える強い国はどこだ?」

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 次々に意見が出される。

「ブラジル」

「アメリカです」

「ロシアも強いです」

「中国にはこのところ勝っていません」

 眞鍋はまた質した。

「ブラジルはなぜ強いんだ」

「アメリカのストロングポイントはどこだ」

 その途端、誰もが押し黙った。

選手とのコミュニケーションの量でも突出していた眞鍋監督 ©JMPA

 眞鍋が答えをうながすと小さな声で語る。

「日本がいつも負けているし……」

「アメリカのフッカーのスパイクは威力があるんです」

「ブラジルはレシーブもいいんです」

 眞鍋が期待した返答は出なかった。

 ライバル国の戦術・戦略を理解していないことに加えて、プレイスタイルや特徴も理解していないことが判明した。眞鍋は偵察してきた各国の戦い方を選手に理解してもらうため、まずは情報の共有化を図らなければならないと感じた。

「上から目線は女性にはタブー」眞鍋政義が〈高さ、パワーの面でどうしようもない〉男子ではなく女子バレー監督を選んだ理由

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