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戦術をまるで理解していない
09年5月、全日本候補の二十数人が招集され、眞鍋ジャパンがスタートした。
眞鍋は、全員に質問した。
「君らが考える強い国はどこだ?」
次々に意見が出される。
「ブラジル」
「アメリカです」
「ロシアも強いです」
「中国にはこのところ勝っていません」
眞鍋はまた質した。
「ブラジルはなぜ強いんだ」
「アメリカのストロングポイントはどこだ」
その途端、誰もが押し黙った。
眞鍋が答えをうながすと小さな声で語る。
「日本がいつも負けているし……」
「アメリカのフッカーのスパイクは威力があるんです」
「ブラジルはレシーブもいいんです」
眞鍋が期待した返答は出なかった。
ライバル国の戦術・戦略を理解していないことに加えて、プレイスタイルや特徴も理解していないことが判明した。眞鍋は偵察してきた各国の戦い方を選手に理解してもらうため、まずは情報の共有化を図らなければならないと感じた。