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――いちスタッフとして過酷な取材をされていたのですね。

内田 当時はそれが当たり前だと思っていたのですが、少し前に阿部千代さんに会ったとき、「ウッチー、あのときは守ってあげられなくてごめんね」と言ってくださって。「ライフワークバランス」といった考え方や働き方改革もなかった時代ですしね。フジテレビの近くにあったホテルの方にも心配されて、「お風呂だけでも入りに来ていいからね」と労ってもらったこともありました(笑)。

 カイロで開催された世界柔道選手権大会のときはスタッフのほとんどが「カイロ腹」になって上も下も悲惨なことになったのですが、私は中継で画面に出ないといけないので絶対に倒れられないと、滞在中はカップ麺しか口にしませんでした。

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「寒くないですか?」「季節感なさすぎ」に「実際、私も寒かったんですけどね」

――内田さんもアスリートのようなストイックさで『すぽると!』を担当されていたことがよくわかりました。いち視聴者として見えていた部分は、ノースリーブの素敵な衣装で華やかな印象しかなかったです。

内田 『すぽると!』と同時に『ジャンクSPORTS』も担当していたのですが、ダウンタウンの浜田さんはじめ当時のMCお二人がダークスーツだったので、反対に私の衣装は「柄」で腕も出すように、みたいな注文がスタイリストさんに入っていたらしいんです。

 で、同じスタイリストの方が『すぽると!』も担当されていたので、テイストが似てたんですね。そういったところから「内田恭子=ノースリーブ」のイメージになったのかなと思います。

 

「寒くないですか?」とか「季節感なさすぎ」みたいなコメントに傷ついていた覚えも(笑)。実際、私も寒かったんですけどね。

――そんな葛藤もあったんですね。「女子アナ」という立場はとかく色々言われがちな気がします。

内田 他のスタッフより特別扱いされているわけでもなく、会社員として言われた仕事を淡々とこなす、あくまで組織の一人なんですけどね。

 

 特に研修のときから口酸っぱく言われていたのは、「あなたたちはタレントではない」ということ。そこは本当に肝に銘じて出過ぎず、進行に徹するように心がけました。

 でもいまだに私はアナウンサーとしての実力はなかったと思っていますし、正統派のアナウンサーではないという負い目みたいなものがずっとありました。

写真=山元茂樹/文藝春秋

◆◆◆

 内田恭子さんが親善大使を務める「古伊万里再生プロジェクト」。近日、展覧会が開催されます。

【展覧会】:「海を渡った古伊万里〜ウィーン、ロースドルフ城の悲劇〜」

場所:佐賀県立九州陶磁文化館
会期: 2022/5/28(土)〜 2022/7/18(月・祝)

詳細は下記HPにて。
https://www.roip.jp/

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。