福島県警の捜査員たちが、その家へと踏み込むと、異様な臭いがすぐに鼻についた。その臭いは、1階奥の8畳間から漂ってきた。家の廊下には、蛆虫が一面に這っていて、経験豊かな捜査員たちは、その先に何があるか、すぐに察しがついた。部屋に足を運んでみると、目に飛び込んできたのは、彼らの想像を上回る、凄惨な光景だった。
腐敗した遺体、ものすごい蛆虫の数
8畳間には、腐敗した男女6人の遺体が布団から頭だけを出して、仰向けに並べられていたのだった。遺体が発見されたのは、梅雨の時期ということもあり、一部の遺体はすでにミイラ化していた。
「現場に入った捜査員の話では、家の中は、これまで嗅いだことの無いような臭いだったそうです。さらにものすごい蛆虫の数だったから、そのあとしばらくお米を食べることができなかったって言ってましたね」
数々の修羅場を見てきたはずの警察官でさえ、怯ませるほどの現場だった。どうしたら、そんな場所で生活を続けることができるのだろうか。人間の心の闇の深さを感じずにはいられない。
逮捕された江藤は、その後の裁判で死刑判決がくだされ、事件から17年後の2012年9月に刑が執行された。
江藤が刑場の露と消えたその日、近所の男性のもとにマスコミ関係者から、刑の執行を知らせる電話が入ったという。
「親族でもないのに、何で、私のところに電話が来たのかよくわからないのですが、近所だから伝えたかったのかもしれませんね」