文春オンライン

未解決事件を追う

角田美代子の自死で幕を閉じた「尼崎連続変死事件」 監禁現場から逃走した37歳男性が行方不明になるまで

角田美代子の自死で幕を閉じた「尼崎連続変死事件」 監禁現場から逃走した37歳男性が行方不明になるまで

「尼崎連続変死事件」の謎 #1

2022/05/05

genre : ニュース, 社会

note

監禁状態の解消後、逃亡した四子さんは仲居の仕事を

「実刑になるように窃盗を何回か繰り返しているときに、まず二郎が逃げました。続いて四子と賢吾が姿を消したんです。美代子は賢吾が逃げた後に、残っていた一郎に偽の書類を提出させ、賢吾を彼の養子にしていました」

 そうすることによって、一郎さんに住民票の変化を定期的に確認させ、賢吾さんの逃亡先を捜させようとしていたのだ。

 その後、宏一郎さんも美代子の下から逃亡するのだが、賢吾さんの後釜として、美代子の運転手にされた一郎さんの長男が、99年12月に自殺したことを知ったことで、00年1月に警察に駆け込み、これまでの窃盗事件を自白。美代子以下、窃盗に関わった人物が同2月に逮捕されたことで、東条家の監禁状態は解消されたのだった。

ADVERTISEMENT

 賢吾さんと一緒に逃亡した四子さんは、それから近畿地方にある旅館で仲居の仕事に就き、住み込みで働いている。じつは宏一郎さんは美代子が自殺してしばらく経った13年に、四子さんと会っていた。

「14年ぶりですかね。それこそもう追われる心配がなくなって、安心した感じでしたわ。聞いたら、賢吾とは××(旅館がある地域)まで一緒に逃げてきたそうです。そんで四子がいまの旅館の仕事が決まったところで、賢吾は『じゃあ俺は行くわ』と言って、そこで別れたそうで、それきりやと話してました」

 22年5月1日の時点で、賢吾さんがどこかで生活をしていれば45歳である。当然ながら、結婚や引っ越しなどによって住民票に動きがあれば、その動向は確認できるはずだ。だが残念ながら、そうした話はいまのところ入っていない。

 最新の情報について兵庫県警察本部に問い合わせたところ、以下の答えが返ってきた。

「行方不明事案全般について、届出人のプライバシーの問題もあるので、公開していること以外につきましては、回答は差し控えさせていただきます」

角田美代子の自死で幕を閉じた「尼崎連続変死事件」 監禁現場から逃走した37歳男性が行方不明になるまで

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー