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「障害があるというと、困っている前提で押しつけになることも…」 川内有緒と岸田奈美が語る“わかりあえる”と“わかりあえない”の間

川内有緒さん×岸田奈美さん#1

note

◯◯だから友人になるわけじゃない

岸田 そもそも、どうして私に帯文の依頼を? 障害がある家族がいるから、とか?

川内 大きく言えばそういう共通項もあるんですけど、私、岸田さんがnoteで書かれていたときからずっと読ませていただいていて。話題になった「弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった」の頃から、折々に読んでいて。面白い文章書く人がいるなあ、って。文章を生業にしている人でなくてもこんなに面白いの書いちゃうなんて嫌になっちゃうなあ、って(笑)。

岸田 ええ! ありがとうございます! 当時はただの素人でしたからね…。

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川内 それで、最初の本のタイトル『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』に、すごく共感したんです。私の本の結論もそこに近かった。当たり前のことですが、私も◯◯だから友人になるということはなく、白鳥さんとも視覚障害者だから友人になったわけじゃない。友人になった人が視覚障害者だった。誰かと一緒にいるっていうのはそういうことなんだ、と再確認しました。

 新刊の『傘のさし方がわからない』もすごく好きです。本の造りも可愛いですよね。途中に家族写真が挟まれているのもいいんですよね。担当編集者に「こういうのできるならやりたい」って言ったら、「予算的に無理です」って言われてしまった(笑)。

 

岸田 写真を挟むのはデザイナーの祖父江慎さんのアイディアで。紙も何ヶ月もかけて取り寄せたりして。原価が結構やばい(笑)。

 川内さんの本も、私が初めて読んだ時はゲラだったので、装丁を見て驚きました。図版もたくさんあって、凝ってますよね。

 たいてい、本をつくる時って、これくらいの分量でこれくらいの章立てで、じゃあこことここを取材しましょう、ってなるじゃないですか。私は勝手にそういう本のつくり方を「箱庭式」って呼んでるんですが、最初から結論があって、その結論を目指して取材して、結果を当てはめていく。答え合わせですよね。

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