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 言い訳をすると、私、100文字ですむことを2000文字で書いちゃうタイプでして。言いたいことを伝えようとすると何万字にもなってしまうんです。だから帯のような短いものは苦手で。でも、「この本めちゃめちゃいい!」という気持ちをなんとか言葉にしようとしたら、こうなったんです。

川内 素敵な言葉です。ありがとうございます。

 わかりあえる、わかりあえない、っていうのは、この本の本当に大事な部分なんです。障害のある人とない人がアートを通じて交流をする。そこだけ聞くと、わかりあおうとする話かなと思いますよね。文中にも書きましたが、白鳥さんに「人と人はわかりあえるのかなあ」って聞いたら、結構一瞬で「結論としてはわかりあえない」って答えられたことがあって。でも、わかりあおうとすることはできるし、わかりあうために話しあうことはできる。

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「わかりあえない」って身も蓋もない結論を聞いちゃったことで、なんか少し楽になった。そうだ、人はわかりあえないという前提に立っていればいいんだ、と。

 

みんなが100%使いやすいものなんて

岸田 私は、大学生の時に立ち上げから関わったベンチャー企業で働いていた9年間、ずっと、ユニバーサルデザインを広める仕事をしていたんです。全国各地で「ユニバーサルデザインを取り入れましょう」って言ってまわるなかで、「でもみんなが100%使いやすいものなんて存在しないよな」という思いもあって。

 例えば点字ブロック。大病をして車椅子ユーザーになったうちのおかんは、ブロックの上でガタガタってなって膝の上に置いていた鞄を落としたりするし、私は営業時代慣れないハイヒールでつまずいて転んじゃったりしたことも。でも、目の見えない人からすれば命綱ですよね。

 

 点字ブロックひとつ取っても、便利な人とそうじゃない人がいる。何をもってユニバーサルデザインっていうんだろう、という葛藤は、会社員時代ずっとあった。わかりあいたいけど、わかりあえない。虚無感ですよね。

 だから「伝えられなさ、わかり合えなさを抱えながら、ただ歩いていくことしかできない。」というこの本の言葉は、よくぞ書いてくださった!と。