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 その横には「1番 チャーハン」から「7番 レバニラ炒めライス」まで、ご飯ものを数字で分けたメニューも見える。さらにその下には、餃子、枝豆、冷奴、チャーシューなど、ツマミが33種類も。それに値段も安い。3人か4人でワイワイと、「あれも頼もう、これも頼もう」と盛り上がったら楽しいだろうなあ。

 

ゆったりとした空気が流れる店内

 ビールを飲んでいたら、ほどなく出てきた餃子は6個。雑な並べ方もいい感じだが、味もしっかり文句なし。豚肉と野菜のバランスがちょうどよく、にんにくの量も適量。取り立てて個性はないけれど、きちんと考えられているのがわかる。

 テレビの音声を聞きながら、餃子をつまんでビールを飲み、扉の向こうの千川通りを眺める。緑が多い通り沿いは、車の量も少なくないはずなのに意外なほど静かだ。

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 ゆったりとした空気が流れており、来てみてよかったと感じた。今風ではないけれど、こうしてくつろげるところがB中華の魅力だ。

 
 

 なお勝手に「頑固そう」などと想像していたものの、厨房内にいらっしゃる店主は穏やかそう。パートさんらしきホール担当の女性とのやりとりも心地よく感じる。他のお客さんが帰り、一段落ついたように見えたタイミングで声をかけてみた。

練馬に店を開いてから26年

「ああ、『文春(文藝春秋誌)』、たまに買ってますよ」とおっしゃる店主の岩井宏道さん(65歳)がこの店をオープンしてから、もう26年になる。とはいえここに生まれたわけではなく、出身は神戸の長田区。中学生のころに父親の転勤で上京し、当時は大井町に住んでいたのだそうだ。しかも、もとから料理人を目指していたわけではなかった。

「大学は日大の理工の土木だったから、最初は建設会社に入ったんですね。そこには23から30まで勤めてたんですけど、高校時代の友だちから、国分寺でやっていた店を手伝ってほしいと誘いを受けて。北口の、たましん(多摩信用金庫)の真ん前にあった『めんとく』という店」

 

 異業種への転身ということで迷いはあったものの、熱心に誘われたため決心し、その店で12~3年働いたのちに独立。そんな経緯を経てこの地に店を開いた。でも、なぜ練馬だったのだろう?