練馬駅近くの“頑固そうな中華料理屋”　65歳店主がつくる「しょうゆラーメン」は優しい味わいだった！

最後に締めのラーメンを！

　さて、お店にまつわる話が長くなってしまったが、そののち頼んだ締めのラーメンについても書いておかねばなるまい。スープは、とんこつと鶏ガラでとったもの。見た目は濃厚そうにも見えるが、飲んでみるとすっきり優しい味わいだ。外注しているという中太麺との相性もよく、じっくり煮込まれたチャーシューも柔らかい。全体的に、ホッとする味である。

「昔風っていわれるけどね。まあ、新しい店が出れば気になって、やっぱり入りますけどね」

　新店が気になっても、この味は変えない。それこそが岩井さんならではのスタンスなのだろう。

　もとは家庭があり、子どもも女の子がひとり。だが離婚したため、以後はお店の上階にひとりで暮らしている。持ち家だということで生活の心配はなさそうだが、店については「もう、そんなに長くできないでしょ」と話す。年齢的に、まだまだ充分続けていけそうだと感じるのだが。

「いや、でも、あと10年ぐらいでね。その後のことは別に考えてないけど。そんな余裕は」

　朝は11時に店を開けるが、いまはだいたい14時くらいに昼営業を終える。以前は15時まで開けていたが、その間に新しいお客さんが入ってくると、夜の仕込みができなくなってしまう。そこで早めに閉め、スープを入れ替えたりしたあと15時ごろ買い物に行って、17時から夕方～夜の営業を始めるわけだ。

　つまりは夜にも訪れる人が多いのだろうが、納得できる話である。なにしろツマミは豊富だし、居心地がいいのだから。この店が近所にあったとしたら、週に何度かは通うだろうなと思う。

撮影＝印南敦史

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