昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「もう地方は救えない」自治体消滅ドミノと地方経済崩壊までの一里塚

神奈川県から3政令市が「独立」という動きも

2022/05/12

 先日、神奈川県から横浜市、川崎市、相模原市が「すまん、独立するわ」って話を始めて騒動になっているニュースが出てきました。味わい深いですね。記事を見たとき素で「あれっ、町田市が入ってないじゃんか」と思ったら、あれは政令市ではないし、そもそも東京都でしたね……。

 私の畏友が神奈川某市の市長をやってるんですが、わざわざ電話をしてきて「ついに始まったわ」と戦争でも起きたかのような愚痴を垂れたのが印象深く感じます。つい「お前も独立しろ」と言いたくなりましたが、グッとこらえた私は大人だと思いました。

神奈川から「独立」目指す3政令市、黒岩知事「正直ピンとこない」…初の4者同席協議 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220506-OYT1T50220/

©iStock.com

県の枠内での市政運営はもう限界

 神奈川県知事の黒岩祐治さんは、コロナ騒動が大変な時期に医療関係者をコロナファイターズと命名して大変な不評を買ったり、カジノ問題で揺れる横浜市長選で推進派の前市長・林文子さんに4選出馬を促しておきながら対抗の山中竹春さんが圧勝すると心からお祝いを送ったりして、山の天気なみにコロコロ言うことが変わるので不思議な人だなと感じられる面はあるかもしれません。ただ、私の見る限り、黒岩さんはむしろ穏当に軟着陸を目指そうとしている立場であって、責任を押し付けるべきじゃないとは思うんですよね。

 そのお祝いしたはずの横浜市長・山中さんが、川崎市長の福田紀彦さんらと結託して神奈川県に反旗を翻したのは、黒岩さんが嫌いだからではなく、神奈川県内の「格差問題」「都市地方問題」に自治体業務量が飛び火して、にっちもさっちもいかなくなっているからです。

 都市開発の観点からいえば、横浜市全体の商業地、宅地開発でタワーマンションや横浜港周辺での開発が促進される中、コロナ禍でのリモートワーク需要で人口が微増。他方で、高齢者も利便性を求めて横浜での介護・医療サービスを受ける需要が高まり、横浜市立大学などが調査した内容では2050年には現状の4割増しほどのサービス利用になると見込まれます。単に、横浜市の人口が増えるよというだけでなく、その内訳が問題で、育児世帯だけでなく市税をあまり納めない高齢者が都市部で増える典型例で、財政の急激な悪化が予見されるということです。

 一方で、政令市である横浜市の予算は、増加する都市型予算水準へのシフトをしようにもできないぐらいの伸び率に抑えられ、神奈川県全体でいえば健全な財政で黒岩さん頑張ってるなと思うものの、例えば横浜市の一般会計規模は大きく減少しています。