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2022/05/14

「ビャン」という漢字の画数はなんと57画(56画、58画の説もあり定まっていない)もあり、複雑なため、PCやスマートフォンの通常の文字入力では漢字で表記できない。

 そのため中国のウェブサイトなどでもビャンビャン麺を表記する際は「biang biang麺」とアルファベット表記されている(日本ではビャンビャンという表記で広がっているが、実際の中国語の発音だと「ビァンビァン」のほうが近い)。

ビャンビャン麺の字とその書き順の解説(筆者提供)

 一度みたらそのインパクトからついつい気になってしまう「ビャン」の漢字は、実はビャンビャン麺でしか使われていない。

 漢字の由来については、ある秀才学生がビャンビャン麺を食べてその美味しさに感動し、店主の代わりに口語でしかなかったビャンの文字を考案した説や、秦の始皇帝が食べてから、庶民が気軽に食べられないようにするため複雑な字にした説など諸説あり、定まっていない。

大阪・日本橋にあるビャンビャン麺の店「西安麺荘」では、秦の始皇帝が食べた説が中国語で書かれていた(筆者提供)

なぜ「ビャンビャン麺」と呼ばれるようになったか

 なぜビャンビャン麺と呼ばれるようになったかについても、麺を伸ばす台に麺を打ちつける音が「ビャンビャン」と聞こえる説や、中国語で平たいを意味する「扁(bian)」が訛った説などいくつかある。実際に麺を打ちつける音を間近で聞いてみると、確かに「ビャンビャン」と聞こえてくるような気もする。

高田馬場「西安ビャンビャン麺 小高姉」では厨房で麺を打つ様子をみることができる(筆者提供)

 いずれの説も陝西省の庶民の間で古くから言い伝えられてきたものだが、一見奇妙だったり、なんとなく正しそうだったりするのも中国の民間伝承の面白さだろう。

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