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「こういうとこに残ってる人は、もう終わってんな」西成の日雇い労働者が無料ホームレスシェルターで体感した“リアルな心情”とは

『人生、しばしばホームレス』より #2

genre : エンタメ, 読書

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 布団は、洗濯してキレイなとこもあったけど、ちょっと古臭くてボロボロのとこもあった。洗濯してんのか知らんけど、要は、作業員迎え入れるようなもんじゃない。「見せかけでもいいから、もうちょっとキレイにしろよ」みたいな。

 部屋は、1つの部屋をベニヤ板かなんかで間仕切りして2つに分けて、そこに布団とテレビ置いてて、もう布団敷いたら足場がないような狭いところもあったし、なんかもうとってつけたような間仕切った個室に入れられたこともあった。

何年もいるというだけで偉そうにしてる奴

 別の会社では、1つの部屋に二段ベッドを3つも4つも置いとって、そこで寝泊りした。洗濯物とか、もちろんその二段ベッドのところにかけるとかするしかできんような状況。雑魚寝ではないにしても、プライベートもなんにもない。

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※写真はイメージ ©iStock.com

 間仕切りもなく、1つの部屋に布団バーって並べて、それで寝たこともあった。布団とちょっとした荷物置けるようなスペースだけあって、その隣にはまた別の人間がおって、別の人間も一緒に寝る。20名ぐらいおったんかな。それこそほんまの雑魚寝。それが一番ひどかったかな。

 文句というか、「会社に言うても、意味がない」って思った。最初はちょっと分からんかったから、会社になんか言うたかもしれんけど、逆に、「そういう環境で残ってる奴は、ちょっとヤバイな」と。

 何年もおるからいうて、なんかそれだけで偉そうにしてる奴とか見て、まあ言っちゃ悪いけど、「あ~ほんまにこういうとこに残ってる人は、もう終わってんな。それこそ、ここを出たら、もう行くとこない人なんやろなあ」と思った。

劣悪な環境のシェルター

 飯場で住み込みでおる時は、仕事してるし、「ホームレスではない」っていう感覚はあった。まあ、でもどっちにしても部屋ないから、ホームレスと変わらんねんけどね。住所自体はない。

 契約に行ってない時は、三角公園([萩之茶屋南公園]の南側)にあった無料のホームレスシェルター(以下「シェルター」という)に泊まってた。労働センターから歩いて5、6分ぐらい。

 シェルターは狭かったし古かったし汚かった。ダニとかああいう皮膚噛んでくるような虫がようけおって、布団っていうか洗濯もせえへんダニだらけのシーツというか、それを被らないかんから、それで、噛まれたとかそういう話がいっぱいあった。自分も虫にちょっと食われたりした。

 アオカンしてるようなおっちゃんらがシェルター利用すると、やっぱり虫というかダニ持ってきたり、風呂入る人もおれば入らん人もおったりするから、それがまあシーツにひっついて、洗濯せえへんからいうて、また別の人にうつってとか。シャワーとかも時間急かされとった。