昭和の立ち食いそば屋の名店がまた暖簾を下すことになった。高田馬場の駅前そば屋「吉田屋そば店」である。ピンとこない方は「幸寿司」の看板がかかる立ち食いそば屋といえばすぐわかるだろう。
高田馬場駅改札から30秒で入れる店
自分も1984年頃に最初に訪れてから、高田馬場に来るときはいつも食べていた懐かしい店である。久しぶりに訪問することにした。
JR山手線高田馬場駅で下車して、ホームの隙間から早稲田通りを覗くと、いつものように小さく「幸寿司」の看板が目に入る。改札を出て信号が青なら30秒で入店できる大変便利な立地である。
看板には「幸寿司」とあるが、その下にはそばうどんの暖簾がかかる不思議な店。それが「吉田屋そば店」である。
1976年創業、二毛作の立ち食いそば屋として人気
「吉田屋そば店」が創業したのは1976(昭和51)年。今年で46年になるという。「BIG BOX高田馬場ができたのが1974(昭和49)年でしょ。開業当時、高田馬場駅前はすごい活気があったのよ」と語るのは店主の草野彩華(旧姓・吉田)さん(73歳)。この日はご主人が応援に駆け付けていた(詳細は後ほど)。
「吉田屋そば店」は、草野さんの父が1947(昭和22)年に創業した「幸寿司」の二毛作として誕生した店である。マスコミでも二毛作の店としてずいぶん登場して、草野さんは知る人ぞ知る存在であった。実は店のある場所は草野さんの実家で、1歳からこの地で生活していたという。