つくばエクスプレスという鉄道路線は、沿線に暮らしている人でもない限りは利用する機会がほとんどないのではないかと思う。終点のつくば駅付近には学園都市があって公的な機関も集まっているからそこに用事がある人もいるだろうが、他には目立った観光地があるわけでもない。だいたい沿線のほとんどが住宅地なのであって、そこに暮らす人たちの通勤通学の電車。それがつくばエクスプレスなのである。
とはいえ、東京の都心に乗り入れているし、お客の数もすこぶる多いつくばエクスプレス。存在感はなかなかのものだ。そして、そんなつくばエクスプレスに気になる駅がある。流山おおたかの森駅という。
「おおたかの森」って?
それこそつくばエクスプレスに乗ったことがない人にとってはなんのこっちゃわからないかもしれないが、地名とおぼしき“流山”に“おおたかの森”などという摩訶不思議な言葉がくっついている、まさしくナゾの駅である。なんだか高輪ゲートウェイ駅に代表されるような、最近はやりのキラキラ駅名のような気もしてくる。
ところが、この流山おおたかの森駅、目下大注目の駅なのだ。毎年いろいろな不動産関係各所が発表する“住みたい街ランキング”。今年の3月にSUUMOが発表したそれによると、流山おおたかの森駅は前年39位から16位への大幅ジャンプアップ。つまり、急激に住みたい街へと成長を遂げている駅なのだ。
いったい、どんな駅なのか。実に気になるところである。おおたかの森って、なんですか?
流山おおたかの森駅のナゾを解明する前に、まずはつくばエクスプレスがどこを走っているのかをおさらいすることからはじめねばならない。
改めて説明すると、つくばエクスプレスは秋葉原駅を起点に浅草や北千住を経て東京都から埼玉県に入ると八潮市や三郷市といった新興住宅地を経由。江戸川を渡って千葉県に入り今回の主役である流山を経て、今度は利根川を越えて茨城県へ。守谷市内を通過して、終着の地・つくばを目指す。
もともとは常磐線の混雑緩和を目的に計画された路線で、2005年に開業した新しい路線だ。そして流山おおたかの森駅は全体のおおよそ真ん中あたり。秋葉原駅から快速電車に乗れば、20分ちょっとで着くという、意外と都心に近い街だ。
それと同時に東武アーバンパークライン(野田線)とも交わっていて、アーバンパークラインで南に行けば柏、北に行けば醤油の香る街・野田がある。地図でいうと千葉県の北西の細長くなったところ、チーバくんの鼻の付け根のあたりに位置している。