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穴に塩を入れると奇妙な貝が…東京湾の干潟に生息する「マテガイ」を採って食べてみた

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大漁だったマテガイを調理してみた

 マテガイの採取後は、綺麗な海水に取り換えて砂抜きを行う。ダイソーの活かしバケツは蓋付なので、そのままひっくり返して中の砂を取り除き、半分ほど海水を汲んだら密閉できるクーラーにそのまま入れて持ち帰るだけでよい。帰り道に砂抜きもできるし、活きたままの状態で調理することができる。

 鮮度が良いのでお刺身でいただくことに。

 大型マテガイの蝶番をナイフで切り蓋を開けると、細長い殻に沿ってぎっしり詰まった身が現れて感動してしまった……。

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殻を開いた状態

 そのままツルっと食べたいところだが、貝の肝を生で食べるのは心配だったので、肝(黒い部分)だけ取り除いていただいた。

マテガイのお刺身

 コリコリと貝らしい歯ごたえがあって美味しい!

 食感はまるで釣り餌のユムシのようだ。しかしユムシやホヤに代表される磯の香りもなく、意外とあっさりしている。

 私はどちらかというとガツンと磯臭い方が好みではあるが、苦手な方からすると食べやすいのではないか。甘みがあり上品なお刺身であった。

 続いては定番のバター炒め。

マテガイのバター炒め

 バターで軽く炒めて料理酒で蒸し上げた一品。こちらは加熱することで身が引き締まり、生のコリコリ感から弾力のある食感に変わった。

 噛むほどにバターとマテガイの香りが口の中に広がり、飲み込むタイミングを見失ってしまう。またハマグリに匹敵するほど濃厚な旨味を持ち合わせているので、パスタや炊き込みご飯など出汁を利かせる料理にも合うと感じた。そして加熱すると生ガキとカキフライほど香りの性質が変化して芳醇さが増す。お酒のおつまみに最高の一品だった。

 最後は、マテガイを使ったボンゴレ・ビアンコ。

春キャベツを加えて!

 一般的にアサリを使うイメージだが、二枚貝であればOK。

 こちらはニンニクと貝をベースにしたパスタなので、言うまでもなく美味い! マテガイの香りがニンニクに劣らない存在感を発揮してパスタをまとめている。マテガイから出た塩味だけで、ちょうどよい味付けになった。

 マテガイと食感が似ているエリンギも同じサイズにカットして入れると、旨味を吸ってマテガイを量産した気持ちになれる。

 残ったマテガイは保存のため湯通しした後に再度パスタを作ったが、同じ感動は得られなかった。香りと旨味を100%楽しむ場合は生のままの調理が望ましい。