小さい個体はリリースしよう
前述したようにマテガイは10cmほどで成貝になるので、極端に小さい個体はリリースしてほしい。海の公園ではアサリの採取サイズの規制(2cm以下は採取禁止)はあるが、マテガイについては言及されていない(1人2キロ制限は適用されている)。
サイズが規制されているアサリでさえここ数年の減少が著しく、シーズン前後で残数に差はあれど、昨年と今年のマテガイ採りの最中にほとんど見ることがなかった。数年前はまだ1cmほどの稚貝がたくさん見られたが、それすら見当たらなかった。
減少の原因は干潟の消失や、人による乱獲、またツメタガイという二枚貝を捕食する外敵など様々だが、国産アサリが自然繁殖する貴重な漁場だからこそ最低限のルールは守っていただきたい。
ちなみに、二枚貝の天敵であるツメタガイは、採取時は足の広がりが地球外生命体のように感じられるが、煮付けにすると身は硬いが美味しくいただける。昨年、車で簡易的に調理したものでも美味しかったので、機会があればアサリやマテガイのためにもしっかり料理してみたい。
マテガイを採る前に必ず確認すべき条件
なお、マテガイを採るためには、必ず事前に以下の2点にご注意いただきたい。
(1)潮位
潮干狩りは字のごとく潮が引いた時に行うため、干潮時刻を潮見表で確認する必要がある。長く行いたい場合は、干潮の2~3時間前からエントリーして、潮が上げ始める時間まで行う。
潮干狩りが春に行われる理由は潮位変動が関係しており、この時期は特に日中の干満差が大きくなるので、明るい時間により長く潮干狩りが楽しめる。一方で冬は夜間の干満差が大きくなるため、日中は干潮時でも潮が下げにくく潮干狩りには適していないとされる。
この1日に2回ある干満の潮位が一致しない現象を日潮不等と言い、釣りでもゲームを組み立てるうえで重要になる。
(2)貝毒原因プランクトンの検査結果
県ごとに漁業関係者に向けた貝毒の原因となる有毒プランクトンの調査を行っている。
貝毒には主に「麻痺性」と「下痢性」があり、特に麻痺性の症状は呼吸困難で死に至るケースもある。厚生労働省のサイトでマテガイから貝毒が検出された報告は確認できないが、アサリ、ホタテ、マガキ、ムラサキイガイは実例がある。
検査結果が基準値より上回った場合、有料の会場では閉鎖になるが河口など無料の干潟はアナウンスがないため特に注意する必要がある。
神奈川県 令和3年度 貝毒検査結果
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/kb2/cnt/f536279/r3kaidoku_kensa.html
ルールとマナーを守れば、マテガイ採りは誰にでも気軽に楽しめる。不思議な見た目からは想像できない味わい、ぜひご賞味を!
写真=ぬこまた釣査団(大西)