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男性が好む洗顔剤は……

 集中治療室(ICU)で働くスタッフの手の皮膚を調べると、悪玉菌である黄色ブドウ球菌が高い頻度で検出されます。これは業務上、頻繁に手洗いを繰り返すことで、抗菌作用をもつ皮脂の脂肪酸(サピエン酸など)が減少したり、肌バリアである角質が破壊されることが一因だと考えられています。

 これもまた、何度も洗うことが肌にとってはよくないことを示す例といえるでしょう。皮脂は大切な天然の保湿剤ですから、洗顔剤で洗うのは1日に1回で十分。自分の肌に本来備わった自浄作用を信じましょう。

 男性は皮脂を気にして、スクラブ入りの洗顔剤や、洗い上がりのすっきりした洗顔剤を好む傾向にあります。が、スクラブ入りのものは、毛穴の角栓だけでなく角質層まで削り取ってしまうため、肌が炎症を起こす恐れがあります。また、すっきり感の強い洗顔剤は、含まれるメントールが刺激になる可能性があるので、肌にヒリつきが出ないか注意が必要です。

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 ぬるま湯だけでも余計な皮脂は十分に落とせます。毎朝の洗顔では、洗顔剤を使うのをやめてみましょう。ただし、鼻のまわりなど、毛穴詰まりやニキビのひどい箇所もあるでしょうから、その部分に限っては洗顔剤を使ってもいいでしょう。

37度以上のお湯はNG

 私が患者さんにおすすめしている効果的な洗顔法は、純せっけんをよく泡立ててたっぷりの泡を顔全体にのせ、34度以下のぬるま湯でやさしく洗うというものです。

 頬や額などの広い部分は、指が肌に触れないよう泡を当てる感覚で。皮脂の出やすい小鼻や口まわりは、指先でくるくると泡をまわすように。その後、34度以下のぬるま湯で洗い流し、清潔なタオルでトントンと肌を押さえるようにして拭き取ります。

 人間の皮脂は32~33度で溶けるので、それより少しだけ高温のぬるま湯を使えば、肌表面の汚れや皮脂はだいたい落とせます。「熱い湯でバシャバシャ洗わないと、洗った気がしない」という人もいますが、湯温が37度を超えると肌にある保湿成分まで流れ出し、一気に乾燥が進んでしまいます。毎日の洗顔で老け顔を促進する結果になったら、目も当てられませんよね。

 ちなみに私は頭から順に汚れを落としたいので、洗顔はシャワーを浴びるついでにすませています。シャワーの水量と水流を利用すれば、肌をゴシゴシこすらなくても洗い残してしまう心配はありません。