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《男性記者がメンズメイク初体験》BBクリームを塗って辿り着いた“本当の自分”「ほうれい線や肌荒れは“男の勲章”ではない」

 この日、記者の肌は荒れに荒れていた。直近まで続いていた長期出張のビジネスホテル暮らしで、普段つけていた化粧水を忘れ、洗顔は水洗いかボディソープ、髭剃りは備え付けのT字カミソリ。帰宅直後は肌がバリバリと音をたてて割れそうな乾燥具合だった。加えて外食ばかりの不摂生で、口の周りにニキビが噴き出ていてマスクがこすれて痛いほど。

 そんな状態で赴いたのが、女性向け美容雑誌『VoCE』で連載中の糸井のぞ作画、鎌塚亮原案の「僕はメイクしてみることにした」へのインタビュー取材だ。インタビュー自体はライターの田幸和歌子さんの担当だったが、記者にはメンズメイクの指南を受けてくるようにという命令が下っていた。

 予め明記しておくと、記者はメイク経験が一切ない。スキンケアも風呂あがりの化粧水のみである。ほとんどメイクに関する知識がない状態で、今回のメイク指南を受けることになった。

 教師はメンズメイク実践中の鎌塚氏だけかと思いきや、VoCE編集部でこの連載を担当している大森氏も指導に加わり、2人がかりでの「丁寧なメイク指南」を施していただくことに。それは、想像以上に大きな“変化”を記者にもたらすことになった――。

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コットンを人差し指と中指で挟んで…

 まず、講師のお2人を紹介しよう。

 漫画「僕はメイクしてみることにした」の原案であるエッセイ「メンズメイク入門」の著者・鎌塚亮氏は昨年7月からメンズメイクを続けているとあって、肌が瑞々しくくすみも皺もない。スリムな体形で、今年37歳というのが信じられない。大森葉子氏は、美容雑誌「VoCE」の編集者であり、常に美容の最前線に触れている。鎌塚氏が投稿したnoteの記事に目をつけ、「メンズメイク入門」の企画をスタートさせた張本人だ。メンズメイク実践者に美容雑誌の編集者、メイク指南にこれ以上最適な講師はいないだろう。

 お2人は私の様子を見て、基礎の基礎から教えなければならないと悟ったようだ。スキンケアの基本、保湿から実践することになった。

メイクに初挑戦する記者 ©文藝春秋

 一番初めに使うのは化粧水の「オルビスユーローション」である。化粧水なら記者も毎日風呂上りにつけているので馴染みがある。しかし、今回は用意されたコットンにしみ込ませて丁寧に肌になじませていく。5cmほどの厚さがあるコットンに7~8回化粧水を振りかけて、人差し指と中指でコットンを挟んで優しくつけるよう意識した。ところが、大森氏から突っ込みが入る。

「その持ち方はNGです。人差し指は力が入りすぎるので、中指と薬指が肌にあたるようにコットンを持つのが正解。そして、化粧水の量も足りてないですね。今の倍はつけてください」

化粧水はたっぷりコットンに染み込ませ、中指と薬指を使って優しくポンポンする ©文藝春秋

初っ端から躓いた記者を鎌塚氏がフォロー

 初っ端から躓いてしまった。思わず記者が萎縮しそうになっていると、すかさず鎌塚氏がフォローを入れてくれる。

「私も普段は、コットンは使わないですね。これはとろみがあるので手に出して直接つけても大丈夫だと思います。コットンが化粧水を吸うからもったいないっていう人もいるので、やり方は人それぞれですね」

 とはいえ、せっかくコットンがあるのでアドバイス通り化粧水を足して持ち方を変えてみる。すると、確かに力が入りすぎず優しくコットンが肌にあたる気がした。