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「津島のトルコ人は解体業で働いてきた人が多いね。最近は日本人と結婚して定住したり、解体業の会社経営するようになった人が増えてきた。あと、小牧とか春日井もトルコ人多い」

愛知県豊田市内の田んぼの真ん中で見つけたマスジド・トヨタ(右奥)。ホームページを見る限り、パキスタン人とスリランカ人の礼拝者が多そうだ。2022年5月21日。撮影:Soichiro Koriyama

 中京地方一帯はトルコ人以外もイスラム教徒がたくさんおり、Google Mapで「masjid」(マスジッド)と打ち込んで名古屋付近を検索すると、近隣県も含めれば20近いモスクが引っかかる。このうち、トルコ人が多いモスクは愛知県の津島アヤソフィアと、岐阜県各務原市の岐阜ファティフモスクだ。

元祖「居抜きモスク」は新宗教?

 さて、津島アヤソフィアが在日トルコ人たちの新たな心の故郷となりつつあるのに対して、150メートルほど隣に建っているのが「ザ・ジャパンモスク」である。“愛知県の元パチンコ屋モスク”といえば、日本人の間の認知度はおそらくザ・ジャパンモスクのほうが高いはずだろう。

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【Twitter】「タモリ倶楽部」でも紹介されたザ・ジャパンモスクに言及するツイートだが……。
 

 なぜなら、このモスクはテレ朝系のテレビ番組「タモリ倶楽部」の「居抜き物件グランプリ」や『中日新聞』の「わが街探偵団」など各メディアで紹介され、ネットでも話題になったからだ。運営母体である日本アハマディア・ムスリム協会も、『朝日新聞』などが「在日イスラム教徒の団体」として、その声明や活動を報じた例がある。

 ……とはいえ、多数派の一般的なイスラム教徒と会ったときに、ザ・ジャパンモスクの話題を興味本位で持ち出すのは禁物である。事情を知っている人からは、まず確実に顔をしかめられるからだ。

 理由は、ザ・ジャパンモスクの担い手が「アフマディーヤ」(日本の彼らの組織は「アハマディア」と表記)と呼ばれる人たちだからである。この一派は、ミルザ・グラーム・アハマド・カディアニーという19世紀末〜20世紀初頭に活動したインドの宗教家を、ナザレのイエスが再臨した救世主でムハンマドの後に出現した最後の預言者であるとみなす、独特の教義を持つ。これは多数派の一般的なイスラム教徒からは到底受け入れられない立場だ。

トルコ系モスク、アフマディーヤのモスク、統一教会が並ぶ国道

 と、こう書いてもピンとこない人が多いだろう。非常にざっくり説明すると、アフマディーヤの信徒たちは自分たちの宗教を「イスラム教」だと考えているが、教義の面で伝統的なイスラム教との乖離が大きな近代の宗教運動なので、信徒以外の人からは「新宗教」だとみなされている集団なのである。

ミルザ・グラーム・アハマド・カディアニー。2022年5月21日にザ・ジャパンモスク内で。撮影:Soichiro Koriyama

 統一教会(世界平和統一家庭連合)やモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)が、キリスト教に含まれるのか、それともキリスト教が変化した新宗教かという問題と、よく似た構図の話である。なので、日本の新聞各紙や「タモリ倶楽部」が、在日イスラム教徒を代表するような形でアフマディーヤの人たちを取り上げているのは、あまり適切な伝えかたとは言えない。