数々のスクープ写真で知られる報道カメラマンの宮嶋茂樹さん(61)こと不肖・宮嶋は2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、日本メディアのほとんどが現地入りを躊躇していた3月5日、ポーランドから陸路でウクライナ入りした。3月12日にはロシア軍が13キロまで迫っていたキーウへ。以降4月17日に出国するまで各地で取材を続けた。

不肖宮嶋、最後の戦場取材へ 「こりゃ報道の神から見放されたわ」ウクライナ西部リビウに辿り着いたカメラマンが見た“戦時下の光景”

 5月中旬、不肖・宮嶋は再びウクライナへ。同国第2の都市ハルキウでは、ロシア軍が撤収したとされる現在でも砲声が止む様子はない。不肖・宮嶋が見た「戦争の真実」を緊急レポートする。

ADVERTISEMENT

これから前線に向かうのか、ロシア軍の放ったミサイルに悪態をつき気勢を上げる領土防衛隊員。領土防衛隊は退役軍人や予備役の将兵を招集し再編された準軍事組織である 撮影・宮嶋茂樹

 ◆

広場にはロシア軍の不発弾が…砲声が止まぬハルキウ

 未だ砲声が止まず、硝煙の臭いが消えることのないハルキウ市のまさにど真ん中「勝利広場」にはひと月前にロシア軍が放ったミサイルが突き刺さったままだ。

 勝利広場はユーロッパ最大の広さを誇る。そうである。敵であるロシアの首都モスクワの「赤の広場」よりでかいのである。

 このミサイルは不発で終わったが、その背後のハルキウ州庁舎にはこれまたロシア軍が放った、このミサイルよりはるかに強力で大型の爆弾が6階の屋上から地下まで突き抜け、そこで爆発、21名の職員が死亡、100名以上が負傷し、庁舎内は徹底的に破壊されたばかりか、周囲のビジネスセンターはじめ集団住宅や商店が入ったビルまで軒並み破壊された。

芸術を愛すウクライナ人が威信をかけて建設したハルキウ州庁舎、そのなかでも特に荘厳な装飾が天井まで施されていたダイニング・ルームだが、一発のミサイルがすべてをぶちこわした 撮影・宮嶋茂樹

 こんなに目立つ市民の誇りの広場に現れた不細工なロシア軍の落とし物だが、現地の領土防衛隊員が気勢を上げるためにやってきたりするほかは、ジャーナリストが取材に訪れるくらいで、すでに戦争が日常の市民にはただの障害物、一瞥さえされなくなった。