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〈本人解説〉「あとで後悔してしまうような一打はしたくない…」実戦譜で振り返る“勝負師” 黒沢咲の“リーチについての思考”とは

『黒沢咲の 鳴かずに勝つ! セレブ麻雀』より #2

2022/06/20
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リーチをするなら納得のいく形で(2021年10月19日 第1試合 東二局)

 麻雀は思いどおりに手が進むことばかりではなくて、むしろ不本意な形でのテンパイにたどり着くことも多々あります。ただテンパイしたからといって納得のいかないままリーチをかけると、あまりうまくいかないことが多い気がします。ですから私は、自分のなかで「これなら行ける!」と思えるリーチをかけることを、いつも意識しているんです。

 

 この場面ではタンヤオ・ドラ1、「二萬」・「二索」のシャンポン待ちに構えていたところで、「三萬」・「六萬」待ちに変化する「一萬」を引きましたが、ツモ切って今の待ちを続行しました。確かにリャンメン待ちにはなるのですが、役をなくしてまで「三萬」・「六萬」待ちがいいとは思えなかったんです。「四萬」引きならタンヤオがつくので「三萬」・「六萬」待ちに変えてリーチなんですけど、「一萬」引きで役なしリャンメン待ちにするくらいなら、このシャンポンのままでいいと思っていました。

 前巡にカン「三索」待ちにも変化させられたのですが、それもしませんでした。もしマンズの形が「二萬」・「二萬」・「四萬」・「五萬」・「六萬」であれば、ソーズ「二索」・「四索」からの“456”三色も見えるので、カン「三索」待ちにしていたと思いますけど、この形から三色変化を見るのは少し遠いですからね。

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 この局はシャンポン待ちのまま出アガリをしました。だけど、もしその前に「六萬」を引いてきたとしたら、「一萬」を切ってはいますけど、フリテン3メンチャンでリーチをしていたと思います。

 ちなみに、このシャンポン待ちでリーチをかける気もありませんでした。待ちに自信があればリーチをすることもありますが、自分のなかでは本手という感触がなくて。リーチをしてツモれば満貫ですけど、個人的にはそういう理屈より、自分の感覚に素直に従うようにしています。

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