「名札や供花が斜めになっていないかどうか」にも気を使う
また、別の指定暴力団幹部は、「名札や供花が斜めになっていないかどうかといったことまで考えないといけない」と明かす。
弔問には6代目山口組、稲川会などの代表者らが訪れたが、住吉会と6代目山口組はかつて対立抗争が危惧されたことがあった。
2007年2月、東京・西麻布で住吉会系幹部が6代目山口組系の組員らに射殺される事件が発生した。結局、双方の間で話し合いが持たれて和解したが、その後の交流はほぼなかったのが実態だった。
しかし2014年4月に関が住吉会会長に就任すると6代目山口組との関係を深めることが模索され、2016年9月には、関と司、当時稲川会会長だった清田との3者による会談が実現。関体制となって以降は友好関係を維持してきた経緯があった。
国内ナンバー2の組織のトップの葬儀とあって、参列した全国の幹部らが持参した香典も巨額となったようだ。
前出の首都圏に拠点を構える指定暴力団の幹部はこう話す。
「(香典の額は)何千万円単位となるだろう。数千万円を包んでくる組織もあったのではないか。ただ、金額については前例踏襲で、特定の人だけ多額になるなどということはないはず。
香典は葬儀関係にかかった諸経費を差し引いて、一部を組織に収めて残りの7割前後は、遺族に渡されることになるだろう。これまで自分が関係した組織での葬儀でもこのようにしてきた。それは住吉会の今回の葬儀でも同様ではないか」
一方で、近年は暴力団への世間の風当たりも厳しい。「暴力団排除」の意向が社会全体に浸透してきているため、寺院や葬儀場を利用できないのが実情だという。
「供花の配置は重要」と話していた前出の幹部はさらに打ち明ける。
「ヤクザだということで葬儀場などは利用させてもらえなくなっている。幹部が亡くなると、葬儀が行われそうな寺や葬儀場などには警察から事前に『受け付けないように』と連絡が入るようだ。警察の要請を突っぱねて受けてくれる寺など最近はない。だから今回も住吉会の共和一家の事務所で行われたのだろう」