石山 私が中心というのはおこがましく、あくまで私は電線の周りをぐるぐるしているだけですかね……。
ただ、電線のおかげで、私の見る世界が丸く幸せになったように感じます。俳優業も楽な形でやっていけるようになったし、電線にはいつも助けられています。
だからこれからも、電線を一番よく見てもらえるように発信していきたい。私は電線のファンであり、マネージャーでいたいですね。
「電線アンバサダー」として伝えていきたいこと
――2022年6月7日には「電線アンバサダー」に就任されました。まさに“電線のマネージャー”といえる存在になったのでは?
石山 ありがとうございます。これまでは「自称電線アンバサダー」として活動していたのですが、このたび正式に日本電線工業会の伊藤会長より拝命しました。
――「電線アンバサダー」への就任は念願だったそうですね。
石山 とはいえ、やはり緊張します。元々は電線の見た目が好きで、その魅力を写真や配信、文章を通じてお伝えしていました。
でもこれからは、電線について正確に伝えるための知識も必要だし、責任も出てきます。なにより電線は社会的なインフラなので、間違った情報を発信しないように気をつけないといけない。
だからもっと電線のことを勉強していきたいですね。もしわからないことがあれば素直に「わからない」と伝えて、周囲の方々のお知恵もお借りしたいと思っています。
――どのようなことを伝えていきたいですか?
石山 業界団体や組合団体では、すでに電線への認知は広がっています。より多くの方々に興味を持っていたただけるよう、電線の魅力を広く伝えていきたいです。「電線にはこんな見方もあるんですよ?」とやわらかく問いかけていきたいとも思っています。
というのも、最近は都市部を中心に電線の地中化が進んでいるんですよ。歴史的には何度も計画され、進められてはいましたが、街を歩いていて地中化に気付くことも増えました。景観や設備を整えるためには仕方のないことだと思います。でも、「電線があると景観が悪い」と言われたりするのは悲しいのです。
地方に行ったりすると、広い道に電線のある風景が広がっていて、それが本当に美しくて壮大なんですよね。だから「電線は景観に悪影響」とは一概に言えないと思いますし、「電線にも電線の良さがあるんだよ」と声を大にして伝えたい。もちろん、押し付けがましくならないように注意したいとは思いますけれど。
写真=石川啓次/文藝春秋
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。