3人1組で乗務、東京~新大阪間を往復する毎日
〈東海道新幹線のパーサーは、基本的に3人1組で乗務を行う。甫立さんのようなシニアパーサーは見回りを担当し、残る2名がおおむね列車の前後に分かれてワゴンを押して販売を担当。東京~新大阪間で1回の勤務で1~1.5往復。新幹線は朝6時から深夜0時まで走っているので、とうぜん泊まり勤務の機会も多い。〉
——甫立さんはシニアパーサーとして見回りを担当しているんですよね。見回りとはどのような仕事なのですか。
甫立 シニアパーサーやチーフパーサーは、クルーをまとめるマネージャーの役割をしています。そのマネージャーの仕事のひとつとして見回りがあるんです。
見回りの仕事は、車内をきれいに保つという点ではお手洗いや洗面台を掃除したり、不審物がないかを確認したり。あとは降りていったお客さまの忘れ物がないかとか、乗り換えについて聞きたいお客さまに対応したり、気分が悪そうな方がいないかを気にしたり、ですね。
ちなみに、グリーン車のお客さまにおしぼりをお渡しするのも私の仕事です。ワゴンの稼働を指示するのもマネージャーの担当ですね。意外とやることが多いんです(笑)。
峯岸 販売はだいたいグリーン車(8~10号車)を中心にして1号車側と16号車側で分かれます。それぞれグリーン車から端っこに向かって往復して、という感じで。繁忙期でもなければ、東京から新大阪の間で3往復ぐらいはしています。ただ、混んでいるときには2往復、1往復ということもあります。
——ワゴンに載せている商品はどのように決めているんでしょう。コーヒーとかアイスクリームとか、同じものしか買わないお客も多いと思いますが……。
甫立 列車に積み込む商品自体は全部決まっているんです。ただ、ワゴンのスペースにも限りがあって、ぜんぶを載せられるわけではないから、パーサー自身で時間帯によって何を多くするとか、配置を自己流にするとか、そういうアレンジをしています。コーヒーカップの大きいサイズはここ、おつまみのミックスナッツはここ、みたいに。
——自分流のワゴンの積み方がある。
甫立 そうなると、どこだっけと捜さなくても体が勝手に動くようになるんですよね。ミルクどこだっけ?みたいなことがなくなって。自分がやりやすいようにアレンジしておくって、けっこう大事なポイントなんです。
いくつか載せているおつまみがあって、お客さまに「これください」って言われて、「かしこまりました」って言っちゃってから「売り切れです」ってなったら悲しくないですか? もう食べる舌になっちゃってるし。自分流の積み方ができていると、売り切れてるかあといくつ残っているか、事前に把握できるようにもなるんです。
コーヒー?アイス?何がよく売れるんですか?
——よく売れるものはやっぱりコーヒーとアイスクリームですか。