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時速285kmで動き続ける職場…何が大変ですか?

——そんな商品の説明もしながら、ワゴンを押して車内を往復する。いくら新幹線といえども揺れることはあるわけで、なかなか大変なところも多いと思います。勤務時間も不規則でしょうし。

峯岸 揺れてふらふらすることはあまりないですね。私は学生時代にチアをやっていたので、たぶん体幹が強いのかな(笑)。ただ、駅の停車前とか発車後はムリに動かないとか、そういうのは心がけています。

甫立 私もソフトテニスを15年やっていたので、フィジカルには自信があります(笑)。あとは日常的なトレーニングですね。おなかにグッと力を入れて締めながら歩くとか。あとは通勤とかで電車に乗っているときに、あえてつり革につかまらずに、マヂカルラブリーみたいにしたり……。活きているのかどうかはわからないですけど。

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峯岸 ワゴンのタイヤは常にまっすぐにしておかないといけないんですが、それが最初は難しいんですよね。揺れるとすぐに斜めになっちゃうので。絶えず確認するようには意識しています。

「乗客視線」では気がつきにくい、タイヤの向き

甫立 それさえできていれば、ワゴンにはブレーキがついているので、揺れてもワゴンに掴まっていれば必要以上に揺れを気にすることはないですね。

一見普通の持ち手だが、ここに秘密が…
持ち手部分にワゴンの「ブレーキ」が。タイヤが正面を向いていれば、ブレーキをかけると揺れてもワゴンに掴まっていれば必要以上に気にすることはないという

峯岸 なので職場での揺れは大丈夫なんですけど、日常に戻ったとき、たとえばスーパーでカートを押して歩いていて、人とぶつかったときについ「大変申し訳ございません!」って言っちゃうことはよくあります。

甫立 わかる(笑)。プライベートで新幹線に乗っているときも、客室に入るときにいつものクセで礼をしちゃったり。私服なのにね。あとは友達との会話でも「いってらっしゃいませ」って丁寧に言っちゃう。職業病、ですね。

 

意外と聞かれるこの質問「富士山、いつぐらいに見られますか?」

〈東海道新幹線の車内が職場の甫立さんと峯岸さん。ふたりとも、接客業に魅力を感じてこの仕事を選んだという。峯岸さんは家族で新幹線に乗ったときにアイスクリームを買い、「本当に硬いね」と言い合いながら食べた思い出があるという。いっぽうの甫立さんは……。〉

——おふたりの新幹線の思い出、何かありますか。

峯岸 家族旅行とかでけっこうよく乗っていたんですよね。だから新幹線に乗ったらパーサーがいるというのはもちろん知っていましたし。

甫立 私は実家が鹿児島で……実はほとんど新幹線に乗ったことがなかったんです。大学受験で福岡に行くときにお父さんと一緒に緊張しながら乗ったとかはあるんですけど。帰省するときは飛行機だし、田舎なので4時間くらいはクルマで行っちゃうんですよね。でもいまは、よく新幹線に乗って出かけていますし、すっかり新幹線が大好きになりました(笑)。