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野村監督に「オレが責任を取るからマツヤニを使え」と言われ… 元ヤクルト・松元繁が28歳の就職説明会で答えた“希望年収”

野村監督に「オレが責任を取るからマツヤニを使え」と言われ… 元ヤクルト・松元繁が28歳の就職説明会で答えた“希望年収”

2022/06/30

source : ノンフィクション出版

genre : エンタメ, スポーツ

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「僕、ちょっと野球に詳しいので、話を聞いてください」みたいな内容で、「ヤクルト」「プロ野球選手」とは書きませんでした。

 社長との面接中、スタッフが僕を元プロ野球選手だと気づいて、報告を受けた社長が「元プロ野球選手なの? だったらいいよ、おいでよ」と。そこから、第二の人生が始まったんです。

元プロ野球選手だと紹介されることは苦痛だった

「28歳だから28万円ね」と初任給が決まりました。社員20人ほどで赤字続き。給料遅配もあった。でも、どん底だとは感じませんでしたね。

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 僕は20歳で腎臓病を患い3カ月間入院したことがある。ステロイドの投薬治療で顔がパンパンに腫れ、退院後は自宅療養を命じられ、許された外出は自宅前の洗車だけ。野球界に戻ったのは2年後の93年秋。こんな経験をしてきたから、給料遅配をなんとも感じなかった。

松元繁氏と筆者

 辛かったのは、アマチュア野球の高校、大学、プロ野球チームの営業に行かされたこと。元プロ野球選手だと紹介されることも苦痛でした。同年代の仲間は球界で活躍しているのに自分は……と複雑な気持ちを味わいました。

 野球チームを訪問しなくて済むメディア向けの情報配信をやりたい、と上司に直訴。「3カ月以内に3チームの契約が取れたら異動させてやる」と言われ、必死になって獲得しました。

輝く場所はそれぞれにある

 会社員生活にも慣れた頃、野村さんが楽天監督に就任したので、挨拶に出向いたんです。

「いま、何をしているんだ?」

 僕の仕事を伝えると、

「ワシがおまえにデータを教えたから、データの会社に入ったのか?」

 と尋ねられたので、「そうです!」と答えたら、「おお、そりゃ嬉しいな」とすごく喜んでくれた。

 それを見て、「僕が“こっち側”で頑張れば、監督は喜んでくれるんだ」と、胸にぐっときました。それ以来、野球チームを訪問したり、元プロ野球選手と言われることに苦しさを感じなくなりました。

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