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村の人口が増える予想外の結果

 ここに挙げた施策以外にも、小菅村を応援したいという2分の1村民を集めたハッカソンイベント「小菅村オープンビレッジ」、バイカーがスタンプを集めながら小菅村を目指す「源流ラリー」、村民有志で小菅村を盛り上げる方法を話し合う「小菅村DMO推進会議」、村主催の「タイニーハウスデザインコンテスト」など、数えきれないくらいのチャレンジをしていった。

 イベントを開催するたびにプレスリリースで取材を働きかけていくうちに、徐々にメディアで取り上げてもらえるようになり、「小菅村、盛り上がってますね。テレビで観ましたよ」などと声をかけられる機会も増えてきた。

 Yahoo!ニュースなどでもたびたび話題にしてもらい、今では「地方創生の成功モデル」として、小菅村に視察に来られる自治体の人も多い。伴走を始めた頃には全く無名だった山奥の村が全国で知られていくのを実感できるのはなによりも嬉しいことだった。

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 実際、この間の施策の効果は数字にも表れていた。

 2014〜2018年の五年間で小菅村を訪れる観光客は8万人から18万人へと2倍以上になり、山梨県内で最も大きい増加率となった。また、22世帯75人の子育て世代が移住してきたことで、村の小学校の児童数は二23人から36人に増えた。さらに、村内には新たなベンチャー企業が5社誕生した。

 そして、何よりも重要な指標である小菅村の人口は、2019年時点で720人。人口ビジョン策定時のシミュレーションでは660人ほどに減っている計算だったので、それより60人も上積みすることができた。

 気づいたら、未来を変えることができていた。

「未来を変えよう」なんて、よく口にしていたが、未来を変えられたと思ったのは、この時が初めてだった。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。