胸のドレーンを抜いた後は「歯を食いしばっていてもうめき声が」
プロレスラーだったので、普通の方よりも痛みには強いと思っていました。でも、チューブを抜いた後の痛みは、異次元でしたね。数日間はドレーンが入っていた部分にズキズキとした痛みが走って、歯を食いしばっていてもうめき声が漏れてしまうほどでした。この痛みは2日間も続きました。その間は激痛で何もする気になれなかったくらいです。
ドレーンを挿している間は胸部を包帯で覆っていたので、その時点では自分の胸がどうなったのかはわかりません。自分の場合は胸部の削除を2回に分けて行ったため、完璧な(という言い方が当てはまるのかは疑問ですが……)男性としての胸を見るのは最初の手術から約4か月後のことでした。
手術の翌日には退院し、クリニックの近所にあるビジネスホテルに2週間ほど宿泊しながら通院して、切除箇所の経過観察や消毒などを行いました。
戸籍の変更、精神科医との面談
1週間もすると痛みはほとんどなくなり、元気一杯だったのですが、術後ということもあって診察以外は基本は外出禁止。暇だったので、戸籍の変更についてインターネットで調べていました。
戸籍の変更に必要な書類は、今はほとんどインターネットで手に入るんですよね。関係各所の公式サイトに行けば、必要書類の記入例とともに、PDF化された書類がアップされていました。この期間に書類を整理できたので、それからスムーズに進めることができました。書類関係は、療養機関にやっておくのがオススメですね。
2週間の療養期間中、メンタルクリニックで精神科医による面談も受けます。
「手術を終えての感想はいかがですか?」
「新しい自分になってみて、どう思いますか?」
「これからの生活に対する不安はありませんか?」
といったことを聞かれました。迷いに迷ったうえでの決断とはいえ、やはり性別適合手術を受けた方の中には、術後に後悔する人も少なからずいるということで、そういったケアが必要になってくるのです。
その後、定期的にメンタルクリニックでの受診をして、心境の変化などを聞かれます。やはり、身体の一部を切除するということは、たとえ自分で決めたことでも精神的な影響が出ることが多いようです。だから、性別適合手術を受けるにあたって自分と相性の合う精神科医の先生との出会いも大切なポイントといえるでしょう。