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「パートナーの女性はどう思っているのだろう?」性別適合手術を受けた元女子プロレスラーが男になって気づいた“最大の困り事”とは

『元悪役女子プロレスラー、男になる!』より #2

2022/07/10
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男になって困った“トイレ問題”

 男になって困ったこと、そして今も困っていることがトイレ問題です。

 いまはもちろん、男子トイレを使っています。

 女性時代は服装などがボーイッシュだったので、女子トイレに入ると他の利用者に「え?」という表情をされることが多々ありました。

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 その点、堂々と男子トイレを使える今はありがたい! と、言いたいところですが、自分は前述したように尿道は女性時代のまま。用を足すには個室に入らないといけないわけですが、日本の公衆トイレは個室の数が絶対的に少ないんですよね。だから人が多いところにいくと、待たされることが頻繁にあるんです。もっと個室を増やしていただきたいと切に願います。

石野結のこれから

 このように、男性になったからこそ感じたことや思ったことは多々あります。

 そして、これから先の人生で、まだまだ壁にブチ当たることもあるでしょう。

 だけど、何よりも今は男性になったというか、本来の自分になれたことが嬉しくて、それをエンジョイしていこう。

 そういう気持ちが大きいです。

 男性としてやりたいこともたくさんありますが、やはり、一番は家庭を持ちたいですね。尊敬している自分の両親が目標です。2人のような関係になりたいですし、その両親を喜ばせるためにも素敵な家庭を持ちたいです。

 そして、今回、この本を出版したことで、たとえば小学生や中学生で自分と同じ悩みを持っている子がいたら、寄り添って相談にも乗りたいし、もし需要があるならば学校などでの講演会も積極的にやってみたいと思っています。

 あとは、YouTubeでの情報発信もがんばりたいですね。

木村花さんメモリアル大会「またね」のメインイベント

 自分には女性だったからできなかった、ということがたくさんあります。

 たとえば、中学生のときに着ることができなかった学生服を着てみるとか、学生服姿で卒業式をするとか、男になったからこそ、これまでできなかったことをやってみたいんです。

 そしてLGBTQに関することを、当事者として自分なりのやり方で世間に伝えていければと思っています。そのためには、もっと勉強が必要です。

 いろんな人に会ったり、いろんな場所に行ったり、いろんなものを読んだりして、知識をたくさん身に着けていきたいです。

 そして、一番は一般企業に勤めて、男性として働きたい!

 この本を書いている時点では、ある企業から内定をいただいている状態ですが、それから先はどうなるか……。一人の男性として、ただただ仕事をがんばりたい。楽しみたい。今はそれだけですね。

 女子プロレスラーを経て、今、こうして男として生きている自分だからこそできる何か……それを探すことも、これからの人生の楽しみです!

「パートナーの女性はどう思っているのだろう?」性別適合手術を受けた元女子プロレスラーが男になって気づいた“最大の困り事”とは

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