ただ、それが祟った……というと言葉が悪いが、住環境の良さは住民が長く定着する結果をもたらした。裏を返せば入れ替わりがほとんどなかったということだ。そうして1980年代から住民の高齢化という課題が浮上し、いつしか“オールドタウン”などと呼ばれるようになってしまう。
そうした中で、新たな住民を呼び込むために古い団地の建て替えやリノベーション、社宅として使われていた物件を民間分譲マンションに転用するなどの取組によって、少しずつ若い人たちもやってくるようになった。
千里中央駅の周りを歩いていると、真新しく立派なマンションから昔ながらの団地までが混在している。こういうところが、50年の歴史を刻んだニュータウンの変化なのだ。
ただ、千里中央に限っていうと、ここ数年はなかなか厳しい環境に置かれているのかもしれない。
かつて万博の会場で、2009年までエキスポランドとして営業していた一帯が再開発。2015年にららぽーとEXPOCITYとしてオープンしたのだ(2022年にリニューアル)。
ららぽーとという家族でクルマで遊びに行ける施設ができれば、そちらに人が流れるのもとうぜんのこと。50年の歴史を刻む千里中央と比べれば、若い人たちにとってもEXPOCITYのほうがいいにきまっている。
こういった環境の変化もあって、千里セルシーが“新しい町のレジャーセンター”だった時代は終わりを告げた。老朽化なりなんなり、閉鎖された理由は別にあろうが、いまの千里中央駅前の千里セルシーは、そういったニュータウンの栄枯盛衰を象徴しているものなのかもしれない。
10年後の「千里中央」は…
ともあれ、団地の建て直しやリノベーションで生まれ変わりつつある千里ニュータウンの中心の駅、千里中央。目下、千里中央駅からさらに北に延びて2023年度中には箕面萱野駅まで達するための工事が行われている。
箕面萱野駅周辺にはキューズモールなど大規模商業施設が誕生する予定だ。千里中央では、阪急百貨店は阪急ホテル、そして千里セルシーなどを一体とした再開発計画があるという。
いままさに生まれ変わらんとしている千里中央。10年後には、いまとはまったく違う顔を見せてくれるのかもしれない。
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